突然の監督辞任から8か月、箱根路目指す立教大の現在地…高林祐介新監督は「対話重視」

AI要約

新指揮官が就任後、立大陸上競技部が関東学生対校選手権で活躍。青木龍翔らが優勝や入賞し、チームの存在感を示す。

新監督は学生たちに厳しい言葉を投げかけるも反応が鈍い中、一人一人と向き合い、チームの方向性を明確にする。

過去に箱根優勝を経験し、リーダーシップ論を学び、恩師の教えを基に指導する新監督。選手に自信を与え、強豪校に立ち向かう姿勢を醸成。

 昨年の箱根駅伝予選会直前、監督辞任のハプニングに見舞われた立大。その古豪に4月、高林祐介監督(36)が就任した。強豪駒大のコーチから転身し、再建を託された新指揮官の下、チームは順調に走り出した。(編集委員 近藤雄二)

 新生立大がさっそく存在感を示したのが、5月の関東学生対校選手権(関東インカレ)だった。

 男子2部の1500メートルで青木龍翔(2年)が優勝し、大塚直哉(3年)が4位入賞。ハーフマラソンで稲塚大祐(4年)が5位入賞を果たし、3000メートル障害でも中田紫音(4年)が5位に食い込む活躍を見せた。

 「今回一番結果を出してほしかったのが、1500メートルとハーフ。まさに狙い通りの結果になりました」と高林新監督。高校総体3位の実績を持つ青木とは本人とも話し合い、頂点を狙った結果の優勝。ハーフの出場選手には駒大レベルの練習メニューを課し、稲塚の5位に続き、中西洸貴(4年)も12位と健闘した。

 青学大、駒大、国学院大などのライバルを相手に優勝者を出し、箱根と同等の距離を走るハーフで上位入賞。「箱根を見据え、これだけやれば強くなれるんだと、チームに自信を与えてほしかった」という指揮官の思惑通りの成果だった。

 4月の就任当初、高林監督は不安の方が大きかったという。チームの第一印象は「甘い」。昨秋から続く指導者不在の中、部は最上級生を中心に学生主体で運営されてきたが、練習内容は「強豪校の5、6割」だった。「シード権獲得とか上を目指すとか言いながら、それに行動が伴っていなかった」。そんな思いを学生たちにも伝えたが、反応が鈍い。厳しい言葉を投げかけても響かないとみた指揮官は、じっくり一人一人の話を聞くことにした。

 駒大時代に箱根優勝を経験した高林監督は、トヨタ自動車で全日本実業団対抗駅伝初優勝に貢献。2016年に引退後は陸上を離れ、人事関係の仕事をこなした。22年に駒大コーチに就くと、早大大学院でリーダーシップ論を学び、恩師である駒大の大八木弘明総監督の指導について、教え子約200人にアンケートを取って修士論文にまとめた。