勝ったのに「2億円超」もらえず…プロゴルフ界のアマ優勝、“大金”を稼ぎ損ねた選手列伝

AI要約

15歳の韓国人選手が日本女子ツアーで快挙を達成し、史上8人目のアマチュアVとなる。

優勝賞金を手にすることができないアマチュア選手の複雑な気持ちに触れる。

規則によってアマチュア選手の扱いが限定される現状について考察する。

勝ったのに「2億円超」もらえず…プロゴルフ界のアマ優勝、“大金”を稼ぎ損ねた選手列伝

 1カ月以上前となるが、5月5日まで開催されていた国内女子ツアー公式戦のワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ(茨城県、茨城ゴルフ倶楽部 東コース)では、韓国の15歳リ・ヒョソンが通算8アンダーで優勝した。

 リはトップと7打差からスタートすると最終ホールでイーグル奪取するなど5アンダー67で回り逆転優勝を達成。日本ツアーでは史上8人目となるアマチュアVという快挙だった。

 この前に女子ツアーでアマチュアVを達成したのは、2019年富士通レディースの古江彩佳で、初のアマチュア優勝は1973年トヨトミレディスの清元登子。そしてゴルフファンの中でも一番印象深かったのは史上2人目のアマチュア優勝となった2003年ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンでの宮里藍ではないだろうか。

 とはいえ、リのツアー制覇はこれまでのアマチュアによる優勝以上の快挙と言える。15歳176日での優勝は、勝みなみの15歳293日を抜く最年少記録で、大会最年少優勝記録も渋野日向子の20歳178日を大きく塗り替えるもの。公式競技の最年少優勝も畑岡奈紗の17歳263日を更新しており、昨年の韓国女子アマ覇者が、海を越え偉業を成し遂げたということになる。

 一方、リはアマチュアということで優勝賞金2,400万円を手にすることができなかった。日本ゴルフ協会のアマチュア資格規則では「10万円以下の賞金、賞品を受け取ることができる」と定められており、この大会でリが獲得できるのは、その範囲内のみ。今大会の優勝副賞には「メルセデス・ベンツ EQA250」「久光製薬商品1年分」「常陸牛20キロ」「つくばみらい市産コシヒカリ1年分」などがあるが、リが受け取れるのは、用意された副賞のうちのごくわずかとなっている。

 規則なのだから仕方ないとは言え、プロ以上の成績を残しながらその対価が得られないのはなんとも複雑な気持ちになってしまうのは筆者だけだろうか。