「『だって、できなかったよね』『それじゃ出られないよね』」絶妙な言葉のチョイスで言い訳無用の舞台を整える黒田監督のマネジメント力【町田】

AI要約

FC町田ゼルビアが筑波大との天皇杯2回戦に臨む。黒田剛監督は、天皇杯でチームのサッカーを証明し、選手の能力評価の指標とする意向を示す。

天皇杯はチーム力を底上げする重要な一戦であり、普段起用されていない選手にも出番が与えられる。選手の比較を通じて、次戦のメンバー選びを行う目的もある。

筑波大はプロの予備軍と言える実力を持ち、相手がJ1首位のチームであることから高いモチベーションを持つだろう。黒田監督は選手に町田らしさを発揮し、最高のパフォーマンスを期待している。

「『だって、できなかったよね』『それじゃ出られないよね』」絶妙な言葉のチョイスで言い訳無用の舞台を整える黒田監督のマネジメント力【町田】

 今季のJ1リーグ、ルヴァンカップで快進撃を続けるFC町田ゼルビアが、2024年6月12日に筑波大との天皇杯2回戦に臨む。ひとりの記者に「天皇杯の位置付けは?」と訊かれた黒田剛監督はまず、「誰が出ても町田のサッカーができることを天皇杯でも証明したい」と答えた。

「相手は大学サッカーでトップ・オブ・トップの筑波大です。スキルも走力も大学屈指のチームとの戦いは、今後、我々が選手をチョイスするうえで大きな指標になってきます。プロとアマチュアとの試合でその差を見せられないなら、『だって、できなかったよね』『それじゃ出られないよね』となる。燻っている選手たちが自分にしっかりと矢印を向けるうえでも良いきっかけとなるゲームという見方はできます。奮起して次のチャンスに繋げる選手もいるだろうし、そうした効果を含め後半に向け良い位置付けになるゲームにしたいです」

 6月15日には横浜F・マリノスとのリーグ戦が控えているため、普段J1で起用されていない選手に出番が与えられそうだ。

「何がなんでも勝つならリーグ戦のスタメンを出す方法もあります。ただ、そうではなくて中2日でマリノス戦があるので、そこに向けてもう1回メンバーをシャッフルするためのルヴァンカップ(セレッソ大阪戦)であり天皇杯であります。選手の比較、組み合わせを考えながらマリノス戦のメンバー選びをしたい狙いがあるなかでの天皇杯になります」

 

 チーム力の底上げを図る意味でも、筑波大との天皇杯は重要な一戦となる。

「(筑波大は)上手いし、洗練されていて、プロの予備軍といっても過言ではない。向こうからしたら相手がJ1で首位のチームで、これほどモチベーションが高まるゲームもないでしょう。我々は受け身にならず、誰が出ようと町田らしさを発揮できれば勝てるはずです。それができなければ難しいゲームになるので、出た選手には最高のパフォーマンスを期待したいです」

 黒田監督のコメントで何より印象的だったのは、「『だって、できなかったよね』『それじゃ出られないよね』となる」である。チャンスを生かすも殺すもその選手自身。絶妙な言葉のチョイスで言い訳無用の舞台を整える黒田監督のマネジメント力はさすがだ。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)