現地撮【チャンピオンズリーグ決勝】カメラマンが見た「巨人の現実」と「現地の異様」 R・マドリードがドルトムントを破って15回目の欧州制覇

AI要約

レアル・マドリードが15回目の優勝を果たした今季のチャンピオンズリーグ。試合前の期待と試合の展開、アンチェロッティ監督の手腕などが光った。

クラヴィッツのオープニング・ショーから始まった試合は波乱の幕開け。一発勝負の緊張感が試合を彩った。

前半はドルトムントに押されたマドリードだったが、アンチェロッティの指示により後半は試合をコントロール。ヴィニシウス・ジュニオールの活躍で勝利を収めた。

現地撮【チャンピオンズリーグ決勝】カメラマンが見た「巨人の現実」と「現地の異様」 R・マドリードがドルトムントを破って15回目の欧州制覇

 レアル・マドリードが2シーズンぶりに、史上最多記録を更新する15回目の優勝を果たした今季のチャンピオンズリーグ。日本時間6月2日(日)早朝に行われた欧州クラブ最高峰の戦いを、イギリス・ロンドンのウェンブリー・スタジアムで撮影した原悦生。生涯サッカーカメラマンが見た、白い巨人の「知られざるリアル」と、スタジアムの「語られざる異様」――。

 レアル・マドリードが勝つと思っていた人のほうが多かっただろう。

 試合前から、2-1や2-0で決着するという声も多く聞こえた。賭け屋で当てに行くなら、3-0もありかなとも思った。

 それでも一発勝負は、どうなるかわからない。

 レニー・クラヴィッツの派手なオープニング・ショーが終わって、ウェンブリーはまだ煙っていた。

 サイドが入れ替わった。

 キックオフ直後、そんなどさくさに紛れて、賞金目当ての数人による計画的なピッチへの乱入があり、試合が止まった。バックスタンドの観客席まで逃げ切った輩もいたが、緊張感が薄れてしまった。

 そのせいだけでもないのだろうが、前半、マドリードはボルシア・ドルトムントに押された。

 GKティボ・クルトワの好守がなければ、1点は奪われていただろう。

 この試合を最後に引退してピッチを去るトニ・クロースは、「よいチームになるまで時間がかかった」と振り返った。

 クロースにとっては最高のファイナルになった。ルカ・モドリッチ、ダニ・カルバハル、ナチョ・フェルナンデスらと並んで、彼自身6度目のビッグイヤーを手にすることができた。

 マドリードはなんと通算15回目の欧州制覇。ミランの7回を大きく引き離している。

 カルロ・アンチェロッティ監督自身は、通算5度目の欧州制覇。ミランで2度、マドリードで3度。スペイン、イングランド、ドイツ、イタリア、フランスの各国リーグで6度の優勝。アンチェロッティのトロフィ・コレクションは、その右に出るものはいない。

 前半、ドルトムントに何度もボールを奪われたマドリードは、危ない場面に遭遇していた。

 前半だけだったら、誰が見てもドルトムントに分があった。

 だが、アンチェロッティはハーフタイムに選手たちと話し合って、後半は自分たちの試合にすることができた。

「夢のようだが現実だ。決勝というのはこういうものだが、非常に難しい試合だった」

 64歳の指揮官は冷静だった。

 ヴィニシウス・ジュニオールの2点目が勝利を決定づけた。