エジソンに勝利した伝説の発明家・テスラ…エジソンが激怒して起こったテスラとの「電流戦争の死闘」

AI要約

ニコラ・テスラとトーマス・エジソンの電流戦争について

テスラの交流発電機がエジソンの直流発電機との死闘を制す

死刑用の電気椅子を巡るエジソンとテスラの闘いの結末

エジソンに勝利した伝説の発明家・テスラ…エジソンが激怒して起こったテスラとの「電流戦争の死闘」

物理に挫折したあなたに――。

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大好評につき5刷となった『学び直し高校物理』では、高校物理の教科書に登場するお馴染みのテーマを題材に、物理法則が導き出された「理由」を考えていきます。

本記事では電磁気学編から、直流と交流についてくわしくみていきます。

※本記事は田口善弘『学び直し高校物理 挫折者のための超入門』から抜粋・編集したものです。

テスラといえば、いまやイーロン・マスク率いる世界最大級の電気自動車メーカーとして名を馳せているが、その社名は、ニコラ・テスラ(1856~1943年)という発明家の名前に由来する。

このテスラという人物、知名度こそエジソンに大きく劣るものの、発電機の規格をめぐって、「電流戦争」と呼ばれる“死闘”を演じ、最終的に勝利した伝説の発明家である(もっとも“死闘”といってもあくまで技術的な面での闘いではあるが……)。

白熱電球を発明したエジソンが推進したのが「直流発電機」であるのに対して、テスラが推進したのが「交流発電機」であった。

ご存じのとおり、「直流」は流れる向きが一定の電流であり、「交流」は流れる向きが周期的に逆転する電流のことである。

実は、テスラは、エジソンが経営する電灯会社に技術者として入社したものの、直流発電機を推進するエジソンに対して、交流発電機の優位性を主張して、真っ向から対立、数ヵ月で失職する憂き目に遭う。

失意のテスラを救ったのは、エジソンと対立関係にあった電力会社ウェスティングハウスだった。同社はテスラの交流発電機の特許を使って、電力事業を展開。このことが、エジソンを激怒させて、「電流戦争」と呼ばれる“死闘”が繰り広げられることになる。

エジソンは、直流電流の優位性をアピールするため、交流電流は危険だとネガティブキャンペーンを実施。それは、交流発電機を用いた死刑用の電気椅子を採用するよう働きかけるなど、常軌を逸したものだった。

これに対してテスラも100万ボルトの交流を自身の体に通すという過激なパフォーマンスで対抗した。両者の闘いは長きにわたったが、最終的に、テスラの交流発電機が席巻して、エジソンは一敗地にまみれることになる。