鹿児島県 複合災害、80機関が連携 奄美市で1000人 地震、大雨、津波に備え 県総合防災訓練

AI要約

地震や大雨、津波など複合災害を想定した県総合防災訓練が奄美市で行われ、約1000人が参加。避難や救命活動などを訓練し、大規模災害への対応と連携を確認。

訓練ではマグニチュード8.2の地震後、大津波警報や大雨・洪水警報が発表され、各地で被害が発生する想定。地元組織や住民も連携し対応を演習。

避難所運営や救助活動、インフラ復旧など幅広い訓練を実施。塩田知事や安田市長も指揮し、災害時の対応力を高めるための取り組みとなった。

鹿児島県 複合災害、80機関が連携 奄美市で1000人 地震、大雨、津波に備え 県総合防災訓練

 地震や大雨、津波など複合災害を想定した県総合防災訓練(県、奄美市主催)が26日、奄美市名瀬の奄美川商ホール、名瀬港長浜みなと公園を主会場に各地であった。県や市、自衛隊、海保、消防、D―MAT、住民など約80機関・約1000人が参加し、住民避難や避難所運営、救命・救助活動、インフラ復旧などの訓練を展開。大規模災害への対応と連携を確認した。

 訓練は、奄美大島近海を震源地にマグニチュード8・2の地震が発生し、奄美地方では大津波警報に続いて、大雨(土砂災害)・洪水警報が発表。負傷者情報が続々と舞い込む中、各地では土砂崩れや建物倒壊、道路寸断などが同時多発的に起きたと想定した。

 午前8時、地震発生を受けて県大島支庁で現地対策本部や保健所対策本部を立ち上げた。訓練統監の塩田康一知事、同副統監の安田壮平市長らが組織を指揮。県や地元ラジオ局が情報発信を始めた。

 市内各地では、住民が市や警察、消防などの指示に従って避難を実施。自主防災組織の在り方なども確認した。

 避難拠点の奄美川商ホールでは、避難所設営のためのベッドやパーテーションづくりが進められ、通信会社は無料伝言板、WiFiサービスなどを準備し通信手段確保に努めた。保健所や医師会は避難の長期化を想定し健康や食事などの相談所を開設。館内ではパネルや防災グッズ、非常食が展示され、実技講習などを通じて参加者の防災意識や対応力を高めた。

 訓練拠点の名瀬港では、関係者が協力し多彩な訓練を繰り広げた。海上捜索では県警の他、海保の巡視船や消防の水上オートバイらが連携。緊急道路確保、道路啓開、家屋倒壊救助などの訓練もあり、それぞれが役割を確認した。

 この他、電気や通信、水道などインフラ復旧の訓練に事業者らが取り組んだ。最後は消防と海保が大規模火災を想定し、陸と海から放水。観覧者からは大きな拍手が送られた。

 塩田知事は「能登半島地震を踏まえ、それぞれが担う役割を確認し、実効性の高い訓練ができた」と講評。安田市長は「80の機関が協力し災害に向けた対応が確認できた。実践的な訓練の知見を踏まえてさらなる連携を図り、本市の防災力向上に生かしてほしい」と呼び掛けた。

 同訓練は防災体制の確立と県民の意識高揚が目的で、奄美市では2013年以来11年ぶりの開催。当日は悪天候に伴い、航空機やヘリを使った一部訓練を中止。前日の25日には、県初の島外からの海上・航空輸送の訓練にも取り組んだ。