「にんげんだもの」誕生秘話 相田みつをの人生を変えた出逢い【テレビ寺子屋】

AI要約

相田みつをは「出逢い」をテーマにした詩人・書家であり、人生を変える出逢いが彼の作品に反映されている。

相田みつを美術館の館長である相田一人さんは、父の「出逢い」というテーマについて語り、父の生涯を変えた出逢いの秘話を明かす。

父の「出逢い」を象徴する作品には、「逢」という文字が多く用いられており、さらに「タイミング」という言葉も重要視されている。

「にんげんだもの」誕生秘話 相田みつをの人生を変えた出逢い【テレビ寺子屋】

「にんげんだもの」の作品で知られる相田みつを。無名だったころから一変し、誰もが知る詩人・書家となりました。長男の相田一人さんはその背景に、人生を変える出逢いがあったといいます。

テレビ静岡で5月5日に放送された「テレビ寺子屋」では相田みつを美術館の館長・相田一人さんが相田みつをの人生を変えた秘話を話しました。

相田みつを美術館館長・相田一人さん:

父・相田みつをは「出逢いの詩人」と呼ばれることもあり、「出逢い」というのは父にとって生涯のテーマだと言えます。節目節目に大きな出逢いがあり、父の人生がガラッと変わっています。そんな体験から、父は「出逢い」についての言葉を多く書いたのですが、一文字で出逢いを表した作品もあります。「逢」です。ここに父の「出逢い」についての思いがすべて込められていると言ってもいいのではないかと思います。

実は、父が「出逢い」という言葉を用いる場合、「出会い」の表記は一切使っていません。私は子供の頃から父がずっと「逢」という字ばかり使っていましたから、この文字しかないのだと思い込んでいました。なぜなのか聞いておけばよかったのですが、聞く機会がありませんでした。

この「逢」と並び「タイミング」という作品もよく書いていて、「あの人に逢って話がしたい、出逢いをしたいと思っていても、タイミングというものが合わないと残念ながら本当の出逢いは起こらない」と言っていました。もしタイミングがピッタリ合ったなら、人生を根底からひっくり返すような出逢いが起こると言うのです。

父は30歳の時に「これから筆一本で生きる」と宣言しました。収入は展覧会を開き、書を売るしかありません。でも、全く売れませんでした。

40代初めの頃、「書を書いて色紙にしたものを東京のデパートで売ってもらいたいが、無名の書家だし、紹介者もいないから断られるに決まっている。行くのだったら一流のデパートに行って断られてみたい」と言い出しました。冬の寒い日、色紙を風呂敷に包み日本橋のデパートに出かけました。

武者小路実篤だとか、超一流の人の色紙などを扱っている老舗デパートの美術品売り場です。みんな驚きますよね。当然最初に行ったデパートでは断られましたが、なんと、次に飛び込んだデパートで置いてもらえることになりました。

全く無名の作家の異色の作品だったと思いますがなぜかけっこう売れて、当時中学生だった私は栃木県の足利市から納品に行ったものです。ガラスケースの中に父の作品があるのがなんだか不思議な気持ちがしました。