乗組員の診断書展示 エ号遭難事故、一般公開は初、和歌山県串本で

AI要約

和歌山県串本町で、トルコ軍艦エルトゥールル号遭難事故で負傷した乗組員の治療に当たった医師がまとめた診断書が初めて一般公開される。診断書の内容や展示期間について紹介。

トルコ軍艦エルトゥールル号が台風で遭難したエピソードと、救助活動に参加した医師の診断書が町役場で展示される背景を紹介。

さらに、記念品贈呈や追悼式典の詳細も紹介。串本町とトルコとのつながりを感じるイベントが開催される。

乗組員の診断書展示 エ号遭難事故、一般公開は初、和歌山県串本で

 和歌山県串本町は10日、同町サンゴ台の町役場1階エントランスホールで、トルコ軍艦エルトゥールル号遭難事故で負傷した乗組員の治療に当たった医師がまとめた診断書の展示を始めた。一般に公開するのは初めて。24日まで。

 エ号は1890年9月16日夜、台風に遭遇し同町樫野の「船甲羅(ふなごうら)」と呼ばれる岩礁に衝突。多数の乗組員が犠牲となったが、紀伊大島の島民が救助に尽力し、69人が助かった。

 診断書は長年、同町串本の無量寺が保管していたが、津波で流失する可能性があり、町で調査・保管の上で広く公開してほしいと、昨年9月に町へ寄贈した。展示は日本とトルコの国交樹立100周年を記念し、企画した。

 診断書は、治療に当たった大島の医師による「写し」だったとみられ、35人分の氏名や症状、治療法、経過などが細かく記されている。今回は有識者によって現代語訳が完了した1人分を展示している。

 また、3人の医師が県の書記官に宛てた連名文書も展示。文書には、大島港に到着した日本軍艦「八重山」の艦長に53人分の診断書を手渡したこと▽薬科施術料の精算書を作って届けるよう通知を受け取ったこと▽初めから費用を請求する気持ちはなく、負傷者の痛ましく無残な様を哀れんで、救助一途の労しい気持ちより従事したこと▽薬代や治療代は義援したいこと―が記されている。

 田嶋勝正町長は「134年前に島民や医師が献身的に救援した一つの証し。町としては多くの町民の皆さんに見ていただいて、救援にかけた思いを感じてほしい」と呼びかけている。

 展示は平日午前8時半~午後5時15分。

 問い合わせは町総務課(0735・62・0555)へ。

■100歳に記念品

 日ト外交樹立100周年を記念し、本年度100歳を迎える町民にトルコ大使館のコルクット・ギュンゲン特命全権大使から記念品が贈呈される。9日に開会した町議会9月定例会で田嶋町長が明らかにした。

 町総務課によると、記念品はトルコのお守り「ナザールボンジュウ」がデザインされたマグカップ。対象者は15人。

 串本町は16日午後3時~3時半、同町樫野のトルコ軍艦遭難慰霊碑前でエルトゥールル号追悼式典を開く。

 6月にも式典があったため、今回は例年に比べ規模を縮小して開催する。両国の国歌斉唱、礼拝、田嶋町長の式辞、献花などが行われる。田嶋町長や鈴木幸夫議長、地元区長のほか、ギュンゲン特命全権大使らも出席する予定。