考古学と音楽が融合 - 奈良文化財研究所の企画展でサウンドトラックCD発売
奈良市在住のピアニストで作曲家の榊原明子さんが、奈良市にある平城宮いざない館で開催されている夏季企画展「万葉挽歌」のサウンドトラックCDを発売した。
展示では古代の奈良をテーマにした人形が展示され、万葉集に登場する悲劇的な人物を顕彰する思いが込められている。
CDには古代楽器の復元楽器や奈良時代の銅鈴の音が収録されており、奈良時代の音楽を再現している。
奈良市在住のピアニストで作曲家の榊原明子さん(AMIDA LABEL代表)は、平城宮跡管理センターと奈良文化財研究所(奈文研)が奈良市二条大路3丁目の平城宮いざない館で開く夏季企画展「万葉挽歌」のサウンドトラックCDを発売した。
「万葉挽歌」は元中学校美術教諭の永瀬卓さんが制作した古代の奈良をテーマにした人形を展示。万葉集に登場する悲劇的な生涯を送った人物を追悼する思いが込められた展覧会で、9月1日まで開かれている。
榊原さんは、神戸大学で音楽表現を学び、伝統芸能や民俗音楽との共演を通してピアニスト・作曲家として活躍。現在は「日本の音楽の源流を探りたい」と奈良女子大学大学院で古代楽器について研究、考古学も学んでいる。今年5月、奈文研の依頼を受けて展示に合わせた音楽を作曲、編曲した。
収録楽曲には、当時奏でられていたと考えられる「藤原京右京十条四坊出土琴」(弥生～古墳時代)、土笛などの復元楽器を使用。復元楽器を製作した美術工芸家の菊池孝さん(63)はCD制作プロデューサーも務める。
また、平城京から出土した銅鈴「平城京右京八条一坊側溝出土銅鈴」(8世紀)の現物の音も収録。奈良時代のクリアな鈴の音を聞くことができる奇跡的な音源だ。菊池さんは「美術の展覧会と音楽の相乗効果は大きい。考古学と音楽の融合が形になって実現した」と語る。
榊原さんは「皆さまの協力が結集したCD。神話の世界から始まる展示の観覧に合わせて音楽が流れていく。悲劇の人物も天に召されますようにと願って作った」と話す。
会場で使用する5曲に2曲加えた全7曲。1100円(税込み)。平城京いざない館で販売中。今後はネット販売も予定している。注文・問い合わせは、メールamidalabel2018@gmail.com。
