再処理工場の完成目標断念/原燃、延期27回目

AI要約

日本原燃の増田尚宏社長が青森県六ケ所村に立地する使用済み核燃料再処理工場の完成時期を9月末までとする目標を断念し、延期を発表。

再処理工場の完成目標を明確にせず、新たな工程目標を29日に示す方針。MOX燃料工場の完成目標も先送りされた。

再処理工場の遅延は27回目で、設備・機器の耐震評価や規制委への説明に1年程度かかると予想。

再処理工場の完成目標断念/原燃、延期27回目

 日本原燃の増田尚宏社長は23日、青森県六ケ所村に立地する使用済み核燃料再処理工場の完成時期を巡り、9月末までとしていた目標を断念し、先送りすると表明した。1993年に着工した再処理工場の完成延期は27回目。延期幅は「26日の原子力規制委員会審査会合を踏まえて見極める」として明らかにせず、29日に新たな工程目標を示す考え。関係者によると、2年半ほど延期し、26年度内の工場完成を目指す方向で最終調整中。

 県幹部への報告後、記者団の取材に応じた。再処理工場の隣で建設中のMOX(プルトニウム・ウラン混合酸化物)燃料工場についても、9月末までと掲げた完成目標の先送りを公表。延期は8回目となる。

 六ケ所再処理工場は、各地の原発から出た使用済み核燃料を再利用する「核燃料サイクル」の要。原燃は早期操業に向け、規制委の設計・工事計画認可審査に対応中だが、認可のめどは依然として立たない。耐震設計に用いる「地盤モデル」の全面的な見直しが響いたほか、申請書約3100ページに及ぶ大量の不備が発覚し、規制委から「スケジュールありき」の風潮に懸念が示された経緯もある。

 さらに工場内の数千単位に上る設備・機器の耐震を全て再評価すべきと判断。作業や規制委への説明に今から「1年程度を要する」(増田社長)と見込んだ。

 原燃は22年12月に26度目の延期を表明し、24年6月を目安に「24年度上期のできるだけ早期」との目標を発表した。関係者の話を総合すると、原燃は当初、完成目標を「23年度内」に据えようとしたが、「無理な設定はしないでほしい」(原子力行政関係者)など懐疑的な見方が出て、延期幅を延ばした。結局は審査対応に難航し、目標を9月末までにスライドさせた。

 増田社長は度重なる延期表明について、「(認可審査への)私の認識が甘かった。計画を立ててはその計画の延期を続け、大変申し訳ない」と陳謝。一方で「責任を持って再処理工場を仕上げる」と強調した。

 六ケ所村役場には大柿一史・原燃副社長が訪れ、橋本晋副村長に延期を報告した。