【県森林環境税】負担と効果の検証を(8月21日)

AI要約

県は県森林環境税の課税期間終了を見据えて、今後の在り方を検討中。税の効果検証と制度改善が必要。

現行の県森林環境税は森林整備に充当され、税収のほぼ5割は民間業者への補助に活用。次期税制の制度設計に入る予定。

森林整備面積は拡大中だが、私有林の課題も残る。県は県民アンケートやタウンミーティングを通じて声を聞き、取り組みを充実させる方針。

 県森林環境税の課税期間が2025(令和7)年度末で終了するのを見据え、県は県民アンケートやタウンミーティングを実施するなどして今後の在り方を検討している。豪雨などによる土砂災害が頻発する近年、森林整備の重要性は増している。税の効果を検証し、制度の改善と充実を図る必要がある。

 県森林環境税は、間伐や木材利用の推進に向けた各種事業に充当される。県土の7割を占める森林の水源機能の保全と土砂災害防止を目的に、2006(平成18)年度に導入された。5年ごとに課税期間を延長し、現在は第4期に当たる。

 個人は年間千円、法人は資本金に応じて年間2千~8万円を徴収し、今年度の税収見込みは約11億6千万円に上る。税収のほぼ5割は森林整備を担う民間業者への補助に活用している。残りは県産材の利用を促したり、森林を守る意識を高めたりする事業に充てている。県森林審議会への諮問、答申を経て継続が決まれば、県は次期税制の制度設計に本格的に入る。

 税収を原資にした間伐などの森林整備面積は、2023年度までに約3万2千ヘクタールに及ぶ。しかし、対象となる私有の人工林は約12万ヘクタール残っている。継続的な取り組みが求められるとはいえ、税の負担と効果の吟味は欠かせない。

 県は県民アンケートを今月末まで実施し、今後取り組むべき項目などを聞いている。県内8カ所で開いたタウンミーティングでは、花粉症対策で花粉の少ないスギへの植え替え補助の拡大を要望する声が寄せられた。森林の老齢化が進む中、伐採と再造林をする事業に民間業者を誘導する仕組みづくりも求められた。こうした取り組みを丁寧に検討し、内容の充実につなげるべきだ。

 制度の周知も課題と言える。第3期終盤の2019年度の調査で「税を知らない」との回答は56・8%に上った。地球温暖化対策が待ったなしの課題とされる中、森林の多面的な機能を伝えながら、税への理解を深めてもらう取り組みも大切だ。若い世代に森林への関心を抱いてもらうには、例えばユーチューブを使った講座を開くなど、時代に応じた手法を情報発信に積極的に取り入れるよう提案したい。(佐久間裕)