水俣病の療養手当、熊本県「国に増額求める」 木村知事、患者連合と懇談

AI要約

熊本県は水俣病患者連合との懇談で、療養手当の増額を求める考えを示した。

療養手当は被害者の療養を支援するために給付されており、物価高などを踏まえて増額を団体が求めている。

県は使用者を広げる要望や患者支援施設への支援も検討しており、松村守芳会長は県の取り組みを評価している。

水俣病の療養手当、熊本県「国に増額求める」 木村知事、患者連合と懇談

 熊本県は17日、木村敬知事と水俣病患者連合の懇談を開いた。水俣病特別措置法などの救済対象者に給付されている療養手当に関し、県は「物価高の状況を踏まえたい」として国に増額を求める考えを示した。

 懇談は水俣市の水俣病センター相思社であり、団体側は約20人が出席した。

 療養手当は1995年の政治決着と2009年の水俣病特別措置法で救済対象となった被害者が、入院や通院による療養を受けた場合に給付される。国と熊本県が負担しており、年齢などに応じて月1万2900~2万3500円。団体側は被害者の高齢化による症状の悪化や物価高などを踏まえて増額を求めた。

 療養手当の増額を巡り、環境省は7月の同団体との再懇談で慎重姿勢を示している。この日、県は「昨今の物価高の状況を踏まえて増額を国に要望したい」と答えた。離島在住者に給付される離島加算(月千円)の増額も国に要望すると応じた。

 公害健康被害補償法に基づく認定患者を対象にした療養施設・水俣市立明水園で、特措法などの救済対象者を受け入れる要望について、県は「国、県、市との実務者協議で議論していく」とした。水俣市は「制度の趣旨や財源の問題もあり、対象者を広げることは難しい」と説明した。団体側は、半世紀にわたり患者支援を続ける相思社の関連資料約28万点の保存・活用に対する支援も求めた。

 終了後、患者連合の松村守芳会長(82)=天草市御所浦町=は「療養手当などの増額を、県が患者側に立って国に求めるのは大きな前進。努力してほしい」と話した。木村知事は「要望をひとつでも解決できるよう、国とも相談しながら取り組む」と述べた。

 県独自の水俣病被害者団体との懇談は、4日の水俣病被害者・支援者連絡会に続いて開いた。(小山智史、久保田尚之)