終戦の日 神奈川の遺族代表 96歳の高橋和彦さん、優しかった兄に感謝

AI要約

日本武道館で開かれた全国戦没者追悼式に参列した神奈川県の遺族の中で、高橋和彦さんが兄を偲び献花し、戦争犠牲者を悼んだ。

高橋さんの兄冨彦さんは第二次世界大戦中にフィリピンで戦死し、未だ遺骨が見つかっていない。

式典では、高橋さんが兄への感謝の気持ちを述べ、今も続く戦争への警鐘を鳴らした。

終戦の日 神奈川の遺族代表 96歳の高橋和彦さん、優しかった兄に感謝

 東京・日本武道館で15日に開かれた全国戦没者追悼式には、神奈川県内から15~96歳の192人が参列した。県内の遺族を代表して高橋和彦さん(96)=川崎市多摩区=が献花。戦争の犠牲者を悼み、平和を願った。

 高橋さんは、ヤシの木の下でほほ笑む11歳年上の兄冨彦さんの写真をかばんにしのばせて式典に臨んだ。冨彦さんは1945年4月、フィリピン・ルソン島のクラークフィールドで戦死した。27歳だった。

 早稲田大で機械工学を学んだ冨彦さんは戦局が厳しさを増す中、卒業を3カ月繰り上げ、42年に旧日本海軍に入隊。南洋諸島やフィリピン、台湾で航空機などの整備に携わったという。

 激戦となったクラークフィールドで旧日本軍はほぼ全滅。「整備要員だった兄は戦わなければならない状況に追い込まれてしまったのでは」。高橋さんは現地を2度訪れたが、兄の遺骨は見つかっていない。

 献花の際は「お兄さんへの感謝の気持ちを伝えた」。学校帰りに書店に立ち寄り本を買ってくれた優しい兄の面影を思い浮かべた高橋さん。ウクライナなどで今も続く戦争の報道に触れ「家族が悲しい思いをする戦争は絶対になくさないといけない」。