緑を映す南昌荘の30畳の板の間 まもなく79回目の夏を迎える 岩手・盛岡市
明治18年に建てられた南昌荘は、盛岡市にある景観重要建造物で、観光客が訪れる人気スポットです。
建物の二階にある30畳の板の間は、日本舞踊の発表会や能の公演などにも利用されており、戦後の歴史を静かに刻んでいます。
かつて畳の間だった場所がアメリカの進駐軍によって板の間に変わり、現在もその姿を保っています。
明治18年に建てられた、盛岡市にある景観重要建造物の南昌荘です。
暑いこの時期でも涼しさを感じられる空間として、盛岡市や岩手県内外から観光客が訪れます。
また、アメリカや中国、フランス、ドイツなどからも旅行客が訪れます。
この建物の二階にある30畳の板の間です。
床材の表面に漆やワックスを使うこともなく、毎日の拭き掃除だけで磨き上げられたこの床。
初夏には新緑を映し「ゆかみどり」、紅葉の時期にはもみじの赤を映し「ゆかもみじ」と呼ばれ、写真撮影スポットとして人気があります。
この板の間、完成当時は板の間ではなく、畳の間でした。
しかし、第二次大戦後、アメリカの進駐軍に接収され、進駐軍の滞在場所となります。
その時に、アメリカ人が過ごしやすいよう畳を外し、板の間となりました。
進駐軍の人や家族はここでパーティーやダンスを楽しみました。
やがて進駐軍から日本に返還され、何人か所有者が変わり、現在に至ります。
今でも畳を張ることなく、板の間として存在しつづけるこの広間。
時には日本舞踊の発表会や、能の公演でも使われるということです。
黒光りするこの板の間の床。
戦後79年の時の流れを静かに見つめてきました。