「新宿野戦病院」小池栄子さんの岡山弁は「再現ドラマの女王」が監修 「時間がねぇんじゃ」「血ぃ止めるんじゃ」 目指すは千鳥・大悟さん

AI要約

俳優小池栄子さんが強烈な岡山弁を披露するドラマ「新宿野戦病院」の舞台裏を紹介。方言監修を務める片岡明日香さんの取り組みや、小池さんの努力について明かされる。

片岡さんは脚本の準備稿に書かれた岡山弁のセリフを指導し、演者に伝える役割を果たしている。母に電話して方言の正確性を確認することも。

ドラマにおける岡山弁の反響や、関心の高まりについて片岡さんは喜びを語る。今後も「こてこての岡山弁」が注目を集めることを期待している。

「新宿野戦病院」小池栄子さんの岡山弁は「再現ドラマの女王」が監修 「時間がねぇんじゃ」「血ぃ止めるんじゃ」 目指すは千鳥・大悟さん

 俳優小池栄子さんが強烈な岡山弁を繰り出す、宮藤官九郎さん脚本のドラマ「新宿野戦病院」(フジテレビ系、毎週水曜午後10時)。岡山弁の監修をしているのは「再現ドラマの女王」として知られる俳優片岡明日香さん=岡山県総社市出身=だ。どうやって、あの「こてこての岡山弁」を指導しているのか、ドラマの舞台裏を聞いてみた。

 片岡さんは情報・バラエティ番組「こたえてちょーだい!」(2001~2007年)などの再現ドラマに多く出演していたことから「女王」の異名を持つ。俳優として活動する片岡さんが、なぜ方言監修をすることになったのだろうか。「以前、ドラマでお世話になったスタッフさんが『野戦病院』を担当していて、私が岡山出身というのを覚えていて、声をかけてくれました。これまでドラマで方言指導を受けたことはありますが、『まさか自分がやるとは!』とびっくりです」と率直な心境を口にする。

■千鳥・大悟さん風に

 では、方言監修とはいったいどんな仕事なのか―。片岡さんによると、脚本の準備稿に書かれている岡山弁のせりふを正確な方言に直したり、正しいイントネーションを伝えるためにボイスサンプルを録音して、演者に送ったりしているそうだ。撮影現場でも演者の話し方が合っているかどうか、確認したり、助言をしたりしている。「(クドカンさんは)千鳥の大悟さんをイメージしていると聞いたので、大悟さん風の岡山弁を意識しています」と明かす。

 「時間がねぇんじゃ! 死んだら元も子もねかろうが!」 「心臓は止めるな、血ぃ止めるんじゃ!」―。作中では小池さんが流ちょうな岡山弁を披露。大悟さんと同じ、岡山県笠岡市出身の記者が聞いても全く違和感がない。「岡山弁は関西弁と間違えられやすい。小池さんには『困った時は標準語のイントネーションで』と最初にお伝えしました」と語る。

■困った時は母に電話

 そんな片岡さん自身も、イントネーションでは混乱することがあるそう。「実家に帰ると岡山弁で話しますが、18歳で東京に出て30年以上になるので、関東のイントネーションが混ざってしまって。どれが標準語で、岡山弁なのか分からなくなる時は、すぐに実家の母に電話をして確認します」と片岡さん。母親は「スマホ不携帯派」だったが、撮影が始まってからは「私が頻繁に連絡するので、電話にすぐ出てくれるようになりました。とても助かります」と笑う。

 小池さん演じる米国籍の元軍医ヨウコ・ニシ・フリーマンは、岡山弁だけでなく、英語も駆使する難役で、医療シーンにも対応しなければならない。「私だけでなく、同業者であればみんな『これは大変だ』という役を演じているのに、小池さんが現場で話す岡山弁はほぼ合っています。『私、頑張っています』っていうのを全く出さない方なので、陰でとても努力されているのだろうなと想像します」。小池さんの人柄についても「あんな難役を演じたら、ふさぎ込んだり、周りをピリピリさせたりする人もいるかもしれませんが、常に明るく、周囲と積極的にコミュニケーションをとっていて、頭が下がります」と話す。

■うれしい再会

 実は今回のドラマで内科・小児科医の横山勝幸役を演じる岡部たかしさんとは「こたえてちょーだい!」で共演していた。再現ドラマの中では時には夫婦、時には不倫相手役を演じることもあった二人。約20年ぶりに再会したそうで、「当時と同じフジテレビのスタジオで、懐かしいねと思い出話に花を咲かせました」とうれしそうに語ってくれた。

 「今は大悟さん風というより、ヨウコさんというキャラクターがはっきりしてきたので、ヨウコさんならきっとこの岡山弁で話すだろうなと思いながら、せりふを監修しています」。ドラマの岡山弁の反響を〝エゴサーチ〟することもあるそうで「『岡山弁が上手』といった良いコメントを見ると、とてもうれしくなります」と笑顔だ。

 千鳥やシンガー・ソングライター藤井風さんの影響で注目されている岡山弁。「この勢いに乗って、どんどん『岡山弁』や『岡山』の関心が高まってくれたら。いつか古里に恩返しができればと思っていたので、このような仕事ができてうれしいです」。今後のドラマを楽しみにしている視聴者に向けて、岡山弁で「これからもこてこての岡山弁が出てくるけぇ、楽しみにしとってぇよぉ」と呼びかけた。