【山口県】[東ソー㈱]高分子学会技術賞を受賞 プラスチック材料の接着で成果

AI要約

東ソー㈱の先端材料研究所に所属する白木慶彦さんが、高分子学会技術賞を受賞した。

白木さんの受賞は、ポリオレフィンへの新規相溶化技術を利用した接着の技術によるもの。

この技術により、ポリオレフィンの接着強度が向上し、表面処理工程が不要となり、接着温度も低温化された。

この技術は、ポリウレタンベースの新規接着剤を開発することで実現されており、独創的な成果として評価された。

同社は今後も持続可能な社会への貢献を目指し、研究開発を進めるとコメントしている。

11月に受賞式が開かれる予定であり、高分子に関する技術の独創的な成果を称える新しい賞である。

 山口県周南市の総合化学メーカー、東ソー㈱(桒田守社長)の先端材料研究所に所属する白木慶彦さんが、公益社団法人高分子学会(伊藤耕三会長、東京都)の2024年度「高分子学会技術賞」を受賞した。6月に同社と同学会が発表した。11月に受賞式を開く。

 

 同賞はプラスチックやゴムなど高分子に関する技術の全領域において、独創的で優れた成果を挙げた個人、グループを称えるもので、今回新しく創設された。

 白木さんが受賞したのは「新規相溶化技術を利用したポリオレフィンへの接着」の技術で、相溶とは複数の物質を混合した場合に分離せずに混ざり合うこと。

 ポリエチレンやポリプロピレンに代表される樹脂材料のポリオレフィンは、化学的性質から接着特性が低い。接着剤を用いて他の材料と組み合わせるには、接着性を補うためにポリオレフィンの表面を化学的に処理する工程が必要で、その工程の削減と接着温度を低くすることが課題となっていた。

 白木さんはポリウレタンがベースの新規接着剤を開発。接着剤をポリオレフィンに塗って熱処理をすると、両成分の界面で溶けて混ざり合い、ナノレベルのくぎ状のポリオレフィン層が形成され、接着剤層へ食い込む。従来のポリオレフィンの表面処理工程が不要となり、高い接着強度を実現。ポリウレタンの分子量を適切に制御する事で、接着温度の低減化にも成功した。

 同社はホームページで「今回の高分子学会技術賞の受賞を励みとし、持続可能な社会への貢献を目指して研究開発を進める」とコメントした。