悲しい記憶 伝え残す 大鹿村で三六災害の慰霊献花式【長野県】

AI要約

1961年に起きた長野県大鹿村の「三六災害」で42人が犠牲となった大西山の崩落について、26日に慰霊献花式が開かれた。

当時の集中豪雨により大西山が崩落し、およそ320万立方メートルの土砂が流出して集落に被害をもたらした。

毎年この時期に行われる慰霊式では、災害で亡くなった方々を思い、災害への対策を再確認している。

悲しい記憶 伝え残す  大鹿村で三六災害の慰霊献花式【長野県】

 1961(昭和36)年の「三六災害」で、大西山の崩落により42人が犠牲となった長野県大鹿村で26日、慰霊献花式が開かれた。国土交通省天竜川上流河川事務所が主催。吉田桂治所長や熊谷英俊村長、職員ら12人が参列して犠牲者の冥福を祈り、水害対策への思いを新たにした。

 村内では同年6月29日午前9時過ぎ、集中豪雨のため大西山が高さ約450メートル、幅約500メートルにわたって崩落し、山すそを流れる小渋川に大量の土砂が流出。およそ320万立方メートルの土砂がふもとの集落を直撃した。

 全半壊39戸、死者・行方不明者42人。当時の出張所に勤務していた職員6人も崩落した土砂に巻き込まれて犠牲になったことから、殉職した職員と災害で亡くなった人の冥福を祈ろうと同事務所が毎年この時期に慰霊式を開いている。

 この日、参列者は当時の小渋川砂防出張所跡地に建立された慰霊碑に献花・焼香した後、大西山公園内の「殉難之碑」前へ移動し、災害の痕跡が残る大西山公園を前に再び手を合わせた。

 吉田所長は「この地域は中央構造線の影響で地盤がもろく、災害が起きやすい。先輩方の尊い犠牲の上に立ち、砂防活動で地域の安心安全を守っていく」と思いを新たにした。

 熊谷村長は「村内で55人もの尊い命が犠牲になった悲しい記憶。この記憶を伝え残し、災害教育などに生かしていく」と語った。