名曲「惑星」に新楽章を加えた組曲、初披露へ 公演に向け福島県出身2人の力

AI要約

クラシック音楽の名曲「惑星」に新たな楽章「ボイジャー」を加えた組曲が東京で初演される。復興支援の思いを込めて準備された演奏会には著名な音楽プロデューサーや天文学者が関わっている。

新楽章「ボイジャー」は、米NASAが打ち上げた探査機にインスパイアされて制作された。福島の復興支援をテーマに掲げ、世界初演が決定している。

作曲は清水研作氏が担当し、ボイジャー探査機が持つ勇気や希望を音楽に込めている。新楽章には福島の若者たちへの願いも込められている。

名曲「惑星」に新楽章を加えた組曲、初披露へ 公演に向け福島県出身2人の力

 クラシック音楽の名曲「惑星」に新たな楽章「ボイジャー」を加えた組曲が7月7日、東京・錦糸町、すみだトリフォニーホールで世界に先駆けて披露される。新日本フィルハーモニー交響楽団による新楽章の初演には、郡山市出身の音楽プロデューサー小沢陽さん(65)と、会津若松市出身で国立天文台上席教授の渡部潤一さん(63)が大きく関わった。震災・原発事故の復興支援の思いを込めた演奏会を「いつかは福島で」と願いながら、準備に追われている。

 「惑星」は太陽系のうち地球を除く七つの惑星の名を冠した7楽章からなる。「ジュピター(木星)」はポップスにアレンジされて大ヒットもした。作曲者ホルストは生誕150周年に当たる。

 ボイジャーは米航空宇宙局(NASA)が宇宙に放った二つの無人探査機。ボイジャー楽章の構想は小沢さんがコロナ禍の中で温めてきた。復興支援で続けた「野口英世記念ふくしま国際音楽祭」をはじめ多くの演奏会が中止になり、演奏家たちへの影響も大きかった。「宇宙を旅するボイジャーには勇気や希望、けなげさを感じる。復興に挑む福島の人たちと重なり、支援の願いを新作に託したかった」と小沢さんは話す。

 シンセサイザー曲としては2021年、二本松市で披露したが、プロジェクトの意義が、太陽系研究で知られる渡部さんらに伝わって構想は大きく展開。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の的川泰宣名誉教授ら強力な応援団を得てオーケストラ曲が誕生、世界初演も決まった。作曲は清水研作氏(新潟県出身)が担った。

 ボイジャーは1977年の打ち上げから47年を経て2機とも太陽系を離れている。しかし、地球外生物との遭遇を期して地球の生命や音楽を紹介するゴールデンレコードを搭載。渡部さんは東京でのプレイベントで探査の意義などを紹介してきた。小沢さんは「福島の若者たちにも世界の視点、広い視野を持ってほしい」と願い、新楽章の曲中歌を作詞。ソプラノ歌手、秋本悠希さんに託した。

 「さらば太陽系、さらば地球よ。われら、再びテラの地を踏むことはないだろう。されど、われら太陽の勇者。故郷の記憶をしかと胸に抱き、新しい旅へ出よう。さようなら皆さん。愛する故郷よ」

 午後5時開演(開場は同4時)。チケットの問い合わせは同ホールチケットセンター(電話03・5608・1212)へ。オンライン購入もできる。