生成AI、岐阜県が全庁導入へ 権利侵害などリスク懸念、ガイドライン順守を徹底

AI要約

岐阜県は17日、デジタルトランスフォーメーション(DX)施策を進める県DX推進本部の本部員会議を県庁で開き、生成AIの全庁導入決定を発表。

生成AIの試験導入成果や利用状況、リスク懸念に関する情報を報告。

古田肇知事からAI活用のリスクについての重要性を指示。

生成AI、岐阜県が全庁導入へ 権利侵害などリスク懸念、ガイドライン順守を徹底

 岐阜県は17日、デジタルトランスフォーメーション(DX)施策を進める県DX推進本部の本部員会議を県庁で開き、今年1月下旬から試験導入を続けてきた生成人工知能(AI)について「職員の業務への有効性が確認できた」として、利用対象を全職員に広げて全庁導入することを決めた。

 生成AIは人間の指示に応じて文書や画像などを作り出すことができる技術。県の試験導入では対象を各部局主管課とデジタル推進局の職員約400人に絞り業務利用への効果や課題の検証を進めてきた。

 県デジタル戦略推進課によると、今月11日までに延べ539人が計5405件で生成AIを利用。件数が多かったのは文案作成とアイデア出しで、ともに約3割だった。文章の手直し・添削、議事録などの要約、プログラムの設計図に当たるソースコードの作成に使われたケースも。利用職員のアンケートでは8割超が「業務に役立った」と答え、今後の業務での利用可能性については「利用できる」が9割超を占めた。

 ただ、情報漏えいや権利侵害などのリスクも懸念されることから全庁導入後も留意事項などを定めたガイドラインの順守を確認させるほか、初回利用時までに30分程度の動画を視聴する研修の受講を必須とする。

 会議では他に県のAI活用事例を共有。複数の交流サイト(SNS)を監視させて岐阜県に関する災害情報を自動的に解析・収集するサービスを活用していること、県立高校で使われているデジタル採点システムでAIが精度向上に役立っていることが紹介された。

 古田肇知事は「AIのリスクを勉強し、議論する姿勢も大切。偽情報の顕在化が世界的に問題になっている。県の行政として利用を進めるのと並行して、リスクについてもよく検討してもらいたい。道具は、使いこなしてこその道具だ」と指示した。