「教育民泊」が本格始動 奄美大島龍郷町 修学旅行生を一般家庭で受け入れ

AI要約

龍郷町で実施される教育民泊について、地域資源の活用や交流人口創出を目指している。

24年度に本格始動する教育民泊では、生徒たちに豊富なプログラムを提供し、地域経済の活性化を図っている。

教育民泊事業は、費用の半分が受け入れ家庭、もう半分が実行委員会による収入構造で運営され、将来の価格改定も検討されている。

「教育民泊」が本格始動 奄美大島龍郷町 修学旅行生を一般家庭で受け入れ

 鹿児島県奄美大島の龍郷町では13、14の両日、島外からの修学旅行生らを一般家庭で受け入れる「教育民泊」が初めて実施される。同町で2022年度に実行委員会が発足し、24年度の本格始動に向けて準備が進められてきた事業。住民との触れ合いやさまざまな文化体験の機会を提供し、地域の観光資源の有効活用や交流人口の創出を目指す。

 龍郷町の教育民泊は、豊かな自然や文化などの地域資源を生かした独自の体験プログラムを構築し、地域経済の活性化や観光収入の増加につなげることが目的。22年7月、民間事業者を事務局とする実行委員会が立ち上がった。

 23年度には事務局を町企画観光課に移し、受け入れ体制の整備に向けて官民が連携。受け入れ家庭を対象とした各種研修会や先進地の視察、試験的に宿泊・体験サービスを提供するモニターツアーなどを実施した。

 24年度の実行委は受け入れ家庭に加えて、町区長会、町商工会、町食生活改善推進員連絡協議会、奄美大島観光協会など各種団体で構成。現在、28世帯の受け入れ家庭が登録しており、体験活動などを支援するサポートメンバーも20人ほどいるという。

 本格実施となる今回は、修学旅行で奄美大島を訪れる大阪府立島本高校の生徒42人が1泊2日の日程で同町に滞在する。町内11家庭でそれぞれ2~7人の生徒を受け入れる。

 13日はまず、町りゅうがく館と秋名コミュニティーセンターで郷土料理作りを実施。生徒たちは各家庭に到着後、集落散策などをして自由に時間を過ごし、夜は秋名・幾里集落と手広集落で八月踊り体験を通して地域住民と交流する。

 教育民泊にかかる費用のうち6割が受け入れ家庭、3割が事務局の収入となり、1割を手数料として旅行会社に支払う。近年の物価高騰などを踏まえ、実行委事務局は来年度以降の価格改定も検討していく。

 初の受け入れを前に実行委は10日、龍郷町役場で24年度総会を開いた。委員ら17人が出席。事業の趣旨やこれまでの取り組みを確認し、今年度の事業計画や予算、新役員などを承認した。

 事業の名称は、親しみやすいよう、これまでの「龍郷町教育民泊」から「かんもーれ!たつごう民泊」に変更。役員は2人を再任し、委員長に武野忠昭さん、副委員長に興ほずみさん、監事に坂元広幸さんを新たに任命した。

 今年度は島本高校を皮切りに、高校の修学旅行など複数の団体の受け入れを計画・検討中。町の補助金286万2千円も活用し、教育民泊事業を展開する。

 委員らは持続可能な価格設定や将来を見据えた事業運営の在り方などに関する意見を交わし、本格始動に向け気持ちを新たにした。

 新委員長を務める武野さんも、今回の民泊で生徒の受け入れを担う。「生徒たちに集落ごとの雰囲気の違いなどを味わってほしい。まだスタート段階。これから(体験活動の)幅が広がっていけば」と期待を込めた。

 事務局担当者は「初めてで課題も出てくるかもしれないが、しっかりフィードバックをして今後につなげたい。地域を挙げて連携して体制を整え、ゆくゆくは町の一つの産業として事業の売り上げのみで運営できたら」と語った。