過激派、外国による工作…国内唯一の「公安部」誕生 警視庁150年 41/150

AI要約

警視庁は国事犯を探索し警防する使命を持ち、明治7年からその任務を遂行してきた。

戦前の特別高等警察(特高)の廃止後、警視庁は警備課や捜査2課で対処していたが、弱い体制では国内治安情勢に対処できないという課題を抱えていた。

昭和27年に公安1~3課を擁する警備2部が設立され、国内公安と外事に特化した公安部が形成された。現在は、様々な治安の脅威に対応している。

過激派、外国による工作…国内唯一の「公安部」誕生 警視庁150年 41/150

「国事犯を隠密中に探索警防する事」

警視庁は明治7年の発足直後から、国家の秩序を乱す活動を事前に察知して防止することを、主要任務の一つとして掲げてきた。

戦前では主に「特別高等警察(特高)」が対応に当たったが、GHQ(連合国軍総司令部)から「秘密警察」とされ廃止に。戦後、デモや大衆運動が活発化し、過激派による襲撃事件も発生する中、警視庁は警備課や捜査2課に置かれた係で対処する状態だった。

「このような分散された弱い体制では(中略)国内の治安情勢に対処することはできない」(『警視庁史 昭和中編 上』)として昭和27年、公安1~3課を擁する警備2部が発足。32年には「公安部」に改称され、日本で唯一公安部を持つ警察本部となる。

東大紛争やあさま山荘事件、オウム真理教事件など、極左や右翼、カルト宗教を受け持つ「国内公安」に加え、外国機関の情報収集、対日有害活動に対応する「外事」も担う。

外事は現在、主にロシアを担当する外事1課、中国の外事2課、北朝鮮の外事3課、国際テロの外事4課という態勢に。また、テロの疑いがある事案の初動捜査などに対応する公安機動捜査隊やサイバー攻撃対策センターも擁し、変化の目まぐるしい治安の脅威に目を光らせている。(橋本昌宗)