営業職が身につけるべきは商談を円滑に進める〝程よい〟情報収集力

AI要約

営業職における適切な情報収集の方法について、営業の専門家が説明している。

新規商談前の情報収集の心がけやコミュニケーションの重要性について述べられている。

社内の情報共有やデジタルツールの活用方法についても触れられている。

営業職が身につけるべきは商談を円滑に進める〝程よい〟情報収集力

適切な情報収集の量や手段は、職業や職種によって異なる。営業の専門家・大村康雄さんによると、営業職では過度な情報収集がむしろ逆効果になるケースも多いという。営業に求められる情報収集やコミュニケーションスキルなどについて伺った。

 新規顧客の営業商談前に行なう情報収集の心がけには、2つの鉄則があると大村さんは言う。1つは「失礼にならないこと」、もう1つは「相手を萎縮させないこと」。前者は理解しやすいが、後者はどういう意味なのか?

「営業担当者が相手の業界やビジネスについて詳しくリサーチしすぎて、初回から『こうですよね』と言うと、相手は『どこまでこちらのことを知っているのか』と警戒してしまいます。

その結果、逆効果になることのほうが実は多いのです。初回の商談では信頼関係を構築することが大事で、過度な情報収集は必要ありません」

 晴れて信頼関係を築くことができ、商談がうまくまとまった後であれば、積極的な情報収集は吉と出る。「自分(自社)のためにこんなに調べてくれたんだ」と思ってもらえて、より良好な関係を築くことができる。

 新規商談では「むしろ相手から話を聞き出すことが重要」だと大村さんは説くが、どのようなコミュニケーションを取ればいいのだろうか。

「〝付け足す〟とよく言うんですけど、相手の話に対して『確かに先日、リリースを出されましたね』などと〝付け足す〟ことで、会話が盛り上がります。

こちらから先に情報を出すのではなく、直近の企業情報を把握して相手からの情報に〝付け足す〟ことができるようにしましょう」

 そして、大村さんが重視するのは、社内の情報共有だ。相手先に説明できるよう、自社のサービス内容を頭に入れておくことはもちろん、商談で質問されがちな項目は、営業資料に盛り込んだほうが良いという。

「商談相手の疑問点を打ち消し、より商談しやすいよう、同僚から得た情報などをもとにブラッシュアップさせます。

そして、成約した時の話の流れや、失注の原因など、営業チームとして一番欲しい情報を、部内で共有しておくようにしましょう」

 現在は情報共有のためのデジタルツールが普及してきている。しかし、営業の場合はフォーマットに入力するシステムよりも、対面で話を聞くほうが有益な情報を得やすいという。

「デジタルツールへの入力では暗黙知(言語化されていない主観的なナレッジ)が共有されません。そのため、対面の会話を心がけ『成約もしくは失注した際の流れ』や『商談現場での微妙な温度感』といった情報を、互いに質問し合い、営業ナレッジとして得るようにしてください」