「これ安全性大丈夫なの?」 万博「石のネックレス」が物議、設計者は強度試験クリアを強調…主催者の見解は

AI要約

来年4月に開幕する「EXPO 2025 大阪・関西万博」の休憩所に建設予定のオブジェ「石のパーゴラ(日陰棚)」が安全性を巡る議論を呼んでいる。パーゴラの設計や施工に関する情報が不明瞭な中、不安の声が噴出している。

パーゴラは花こう岩を通したケーブル構造であり、750個の岩がつるされる構造である。石の総重量は約90トンにも及び、設計者や施工業者の関係性にも疑念が呼び起こされている。

設計者は安全性を強調し、構造計算や専門家のヒアリングを通じて安全性を確保していると説明しているが、不安を解消するために施設の詳細な紹介が行われる予定である。

「これ安全性大丈夫なの?」 万博「石のネックレス」が物議、設計者は強度試験クリアを強調…主催者の見解は

 来年4月に開幕する「EXPO 2025 大阪・関西万博」の休憩所に建設予定のオブジェ「石のパーゴラ(日陰棚)」を巡り、ネット上で「石が落ちてきたら大惨事になる」といった安全性を疑問視する声が多数噴出、物議を呼んでいる。オブジェはどんなコンセプトで設計されたのか。また、本当に安全性に問題はないのか。万博の準備及び開催運営を行う公益社団法人2025日本国際博覧会協会に話を聞いた。

 報道によると、万博会場の休憩所2に設置予定のパーゴラは、約750個の花こう岩を通したケーブルを何本も連ねた構造で、その形状から「石のネックレス」とも呼ばれる。一部に鉄骨を含む鉄筋コンクリート(RC)造で、鋼製ケーブルに通してつるされる石は1個90~250キロ。高い所で地上約9.5メートル、つるす石の総重量は約90トンにも及ぶという。パーゴラの下には木造の施設が分棟で並び、休憩所やトイレ、案内所、応急処置室、警備センターやバス停留所、水遊び場などが設けられる予定だ。

 先月下旬、このパーゴラについての有料記事が配信されると、ネット上で「これ安全性大丈夫なの?」「花こう岩…水にも塩にも弱い花こう岩を上に吊るすの? 潮風しか吹かない万博会場で…?」「えっ、これ花こう岩でやるの? 花こう岩は墓石とかに使うやつなんだけど意外と簡単に割れるんやが…」「仮に絶対安全だ言われても怖すぎる。不安しかない」「こんなの怖くてとてもじゃないけど下に入る気にならない」など、不安の声が続出。また、設計者と入札した施工業者が親族関係にあることから、癒着を疑う声も上がっている。

 設計を担当した工藤浩平建築設計事務所代表の工藤浩平氏は、先月27日、騒動を受けSNS上で「休憩所2では建築基準法をはじめとした各種法令を遵守し、構造計算や各種専門家へのヒアリング、強度試験などを行った上で設計・施工を進めております」とあらためて安全性を強調。「文章や写真ではコンセプトや施設計画が伝わりづらいため、後日違ったメディアで、休憩所2についての施設紹介の機会(一次情報)を作りたいと考えております。ご心配をおかけしますが、よろしくお願いいたします」と釈明する事態になっていた。

 2025日本国際博覧会協会広報部の担当者は、オブジェの安全性について「工作物(パーゴラ)の安全性については、構造設計の専門家が構造計算を行って、計画の安全性をチェックしています。そのうえで、民間の指定確認検査機関に工作物の確認申請書を提出し審査を受けており、建築基準法に基づく構造安全性に適合しています」と回答。石のそのものの強度については、「引張強度試験を行うとともに、原寸大のモックアップ(模型)を作成し、石などの耐久性の確認を行っています。詳細については設計者へお問い合わせください」とした。

 また、オブジェがもたらす付加価値やコンセプトについては「休憩所を含む若手建築家設計施設は、『多様でありながら、ひとつ』という会場デザインコンセプトの下、SDGs(持続可能開発目標)達成につながる個性豊かで魅力的な博覧会施設の創出を図るものとして選出されています」と回答している。