あなたは動物園のパンダの「美しいうんこ」を見たことがあるだろうか?

AI要約

神戸市立王子動物園のメスのジャイアントパンダ「タンタン」が28歳で亡くなった。特徴的な姿や愛らしい所作から「神戸のお嬢様」と呼ばれていたタンタンの日常を振り返る。

タンタンは特定の場所で「圧タン」と呼ばれるポーズを取ることがあったが、最近は控えめな圧を見せていた。食事の好みやフンの状態などが変化しており、梅元良次さんがその理由を説明している。

タンタンのフンの状態や匂いから、食事内容や健康状態がうかがえる。最近のタンタンの食事の傾向や好み、さらにはグルメぶりについても言及されている。

あなたは動物園のパンダの「美しいうんこ」を見たことがあるだろうか?

ちょっと短めのおみ足にまるいボディ。唯一無二のフォルムを持つ、神戸市立王子動物園のメスのジャイアントパンダ「タンタン(旦旦)」。そのかわいい姿と優雅な所作から、親しみを込めて、“神戸のお嬢様”とも呼ばれています。

2021年に心臓疾患が見つかり、治療を続けていたタンタンですが、2024年3月31日に虹の橋を渡りました。国内最高齢の28歳でした。いつでも笑顔をくれた神戸のお嬢様・タンタンをしのび、在りし日の日常を振り返りながらお伝えします。

いつもとは違う、控えめな圧タンが登場したのは、連載53回目(https://gendai.media/articles/-/89403)。「たまたま撮影に成功したので、アップしました」と、話すのは飼育員の梅元良次さん。圧タンとは、タンタンがオリ越しにギュッと圧をかけるようなポーズをとること。ただこの日は、そっと前あしを添えた控えめな圧でした。

タンタンがオリ越しに圧をかける場所は、トレーニングルームと寝室。寝室には南側とドア横の2箇所、圧をかけられる場所があります。ちなみに、この控えめな圧タンがかけられたのは寝室の南側。こちらでは、あまり強い圧はかけないのだそう。「やりやすさなんかも、あるんでしょうかね」と、梅元さん。同じ寝室でも、ドア横はエサの交換や掃除で人の出入りが多いため、強めの圧になることが多いようです。

そして、ドア横にある棚には、目薬をさすときに与えるリンゴやニンジンが置いてあるのを、タンタンはよく知っています。それもあって、圧が強めになるのかもしれないとのことでした。「おねだりされたらあげてしまいますが、一応ステイ(待て)させて、形だけでもトレーニングのようにしています。リンゴはトレーニングのご褒美ですからね」(梅元さん)。ここには、おいしいものがあることをよくご存じなのですね、お嬢様。

この回は、お嬢様のフンについても取材しました。健康なパンダのフンは、15センチほどの大きさなのですが、この頃のタンタンのフンはちょっと小さめ。ファンの中には「便秘なのでは?」と心配される方もいらっしゃるようなので、梅元さんに聞いてみると、「竹をそんなに食べていない分、どうしても小さめになりますが、他のものは食べているので、ちゃんとフンは出ていますよ」とのお答え。竹を食べない理由については、「おいしいものを食べ過ぎたのかな……。あとは、竹が気に入らないのと、竹の皮をむくのが面倒くさいということも考えられます」と、教えてくれました。

薬を飲ませるために、いろいろなものを与えた結果、グルメに磨きがかかってしまったお嬢様。おいしい上に皮をむく手間がないくだものや、タケノコを好んで食べてしまっているのですね。それがフンにもあらわれてしまっているのでしょうか。お嬢様には内緒で、今朝落としたてのフンを見せていただきました。

お嬢様のフンは鮮やかな緑色で、竹の繊維や茎がほとんどそのままの形で確認できます。ニンジンやタケノコが混ざると、また違った見た目や香りになるそうですが、夜はほぼ竹しか食べていないため、朝のフンはこの状態で出てきたようです。手持ちのカメラには望遠レンズが付いていたため、スマートフォンで撮影したのですが、画面にナイフとフォークの表示が。スマホのカメラには、食べ物と認識されていました。

匂いを嗅いでみると、さわやかな竹の匂いに混じってどことなく甘い香りが……。じつはこれは、サトウキビジュースの香り。たくさん飲んでいるので、フンにも香りがつくようです。あくまでも個人の感想ですが、タンタンのフンは全然臭くありませんでしたよ。

「できれば竹を食べて欲しいんですけどね」と、梅元さん。最近、まずます竹のえり好みが激しくなってきたそうで。「まぁ、その辺りも込みで、タンタンの変化に答えてあげるのも、僕らの仕事のひとつかな」と、話します。お嬢様のゆるゆるライフは、こうして保たれているのですね。

取材日もタケノコを食べ、竹はニオイだけ嗅いで手をつけず、そのまま寝てしまったタンタン。竹のニオイを嗅いでいるということは、一応食べる気はあるということ。単に竹が気に入らないのです。「この子はずっと前からそう。気に入らないものは絶対に食べません。しかも、最近また舌が肥えてきた気がします」(梅元さん)。本当に、ますますグルメになりましたよね。そんなお嬢様の寝顔を見て「パンダさん、笑ってるみたいだねぇ」と笑う、小さな女の子。寝ているだけで、みんなを笑顔にしてしまうお嬢様。さすがです。