夫婦で同じ墓に入りたい?入りたくない?事前に考えておきたい3つのポイント

AI要約

夫婦別々のお墓に対するニーズの増加について考察。夫婦が別々のお墓に入ることの法的側面と家族への影響。

最新の統計データから、お墓に入る意向が半数未満であり、従来のお墓に対する考え方が変化していることを示唆。

夫婦別々のお墓に入るためのポイントを3つ紹介。個人墓や樹木葬といった多様な選択肢の中での考え方を解説。

夫婦で同じ墓に入りたい?入りたくない?事前に考えておきたい3つのポイント

終活コーディネーター・吉原友美さんによる連載コラムの第12回。最近増えている「夫婦別々のお墓に入りたい」というニーズについて考えます。お墓を分けたいと思う人が押さえておきたい3つのポイントなど、吉原さんが独自の視点を交えて解説します。

東上セレモサービス常務取締役、終活コーディネーター。一般社団法人ライフ・パートナーズ理事。

自身の家族が早くから他界。その経験から死生観を育成して生きていくことの大切さを知る。終活セミナーでは絵本を使い、死生観育成について伝えている。また、最新の終活事情・葬儀・お墓・相続についてもわかりやすく解説する。セミナーの参加数は累計1万6000人以上の人気を誇り、自社では3万件以上の葬儀を承っている。

セミナーなどを通して終活世代の方々と多く接していると、「夫と同じお墓に入りたくない!」というフレーズをよく耳にします。特に15年前くらいから増えてきた印象です。

逆ももちろんあります。「妻と同じお墓に入りたくない!」という男性もたくさんいるのです。

ご夫婦のことですからお二人にしかわかりませんが、離婚したくてもいろいろな事情から離婚できずに年齢を重ねて、でも最後ぐらいは自由になりたいという思いなのかもしれません。わからないでもない感情ですね。

夫婦が別々のお墓に入ることは、法律的にも特に問題はありませんので実現はできます。ただ現実に進めるとなると、対応するのは残される家族たちです。そのこともよく検討し、話し合っておく必要があるでしょう。

ここでいくつか、統計データを見てみましょう。

「お墓に入る意向の有無」※1という調査では、「お墓に入る」と答えた人が49.3%である一方、「お墓に入らない」とする人が23.6%、「わからない」とする人が27.1%。

およそ半数が「お墓に入らない」「未定」と答えていて、その人たちに希望する遺骨の埋葬方法を聞くと(複数回答)、「散骨でいい」が68.1%、「納骨堂にしたい」が64.2%など、従来のお墓に入るスタイルにこだわりのない人がそもそも多いことがわかります。

もう一つ、「家族・夫婦のお墓に対する意識」※2という調査を見ると、「家族は先祖代々の墓に入る方がよい」「妻は夫の家の墓に入る方がよい」という考えに肯定的な意見は、1988年から2018年の30年間でそれぞれ6割程度から4割前後の水準に減少。

家族や夫婦は同じお墓に入るもの、という考え方が社会的にも薄らいできていると言えそうです。

最近は墓地関係のチラシを見ても、「個人墓」や「樹木葬」と書かれていることが多くなったように思えます。家の墓を継承していく意識がかなり薄くなり、個の時代が本格的にやって来て、お墓の考え方もだいぶ多様になってきました。

では、これだけ選択肢が増えた中で、実際に「夫婦別々のお墓に入る」ためのポイントを3つご紹介しましょう。

※1 冠婚葬祭総合研究所「葬祭等に関する意識調査」(2022年調査)

※2 博報堂生活総合研究所「家族調査」(2018年調査)