「東海道四谷怪談」上演200年目 実在した〝良妻〟お岩さんの面影を訪ねて 現着しました!

AI要約

「東海道四谷怪談」は怪談話の代表作であり、お岩さんを含む幽霊の物語が日本人を震え上がらせてきた。この作品は今年、初上演から200年目の節目を迎える。

お岩さんのモデルとなった田宮岩は実在の人物で、寛永13年に死去。その墓は豊島区の妙行寺にあり、お岩さんの菩提寺であった。

実際のお岩さんは怪談話で描かれるような恐ろしい存在ではなく、良妻賢母として知られ、お岩稲荷で信仰を集めた。

「東海道四谷怪談」上演200年目 実在した〝良妻〟お岩さんの面影を訪ねて 現着しました!

「夏といえば」で連想されるものは数あれど、ひと時の涼をもたらす怪談話は外せない。その怪談話を代表するのが、ほかならぬ「お岩さん」だろう。彼女が登場する歌舞伎作品「東海道四谷怪談」は今年、初上演から200年目の節目を迎える。日本人を震え上がらせてきた幽霊ゆかりの地を訪ねた。

日本芸術文化振興会などによると、東海道四谷怪談が初上演されたのは文政8(1825)年7月26日、舞台は江戸にあった芝居小屋「中村座」。お岩さんを含め1人3役をこなしたのが三代目尾上菊五郎だった。狂言作者である四代目鶴屋南北が71歳のときに世に放った作品で、「怪談といえば夏」のイメージが定着した一因とされる。

■モデルの女性

夫の伊右衛門に毒を盛られ、顔が醜くなって恨みながら死んだお岩が復讐を果たす-。日本一有名な幽霊は、江戸時代初期に実在した田宮岩という女性がモデルになっている。亡くなったのは、歌舞伎作品の初上演から約200年さかのぼった寛永13(1636)年と伝えられる。

実在の人物であれば当然、墓もある。向かった先は「おばあちゃんの原宿」で知られる東京・巣鴨から都営三田線で1駅、西巣鴨駅に近い妙行(みょうぎょう)寺。入り口には「明治四拾弐年四谷より移轉(転)」と彫られた石碑があり、その横には「お岩様の寺」とも。23世住職を務める松村観宗(かんしゅう)さんに話を伺った。

「東海道四谷怪談」の演目通り、お岩さんが暮らした田宮家の屋敷は、東京メトロ丸ノ内線の四谷三丁目駅からすぐの新宿区左門町にあった。松村さんによると、田宮家の菩提寺である妙行寺も同じ四谷にあったが、明治末期の都市計画によってこの地に移転することになったという。

境内の案内に沿って進むと、墓石が並ぶ奥にひと際立派なその墓はあった。周囲は故人を供養する「卒塔婆」で隙間なく囲まれており、一帯は何ともいいがたい迫力を放つ。

ところで、怪談ではおどろおどろしく描かれるお岩さんだが、実際は良妻賢母を絵に描いたような女性だったという。このため、死後には彼女が信仰していたという四谷の社は「お岩稲荷」と呼ばれるようになり、多くの人が参拝に訪れた。同じ場所には現在、於岩稲荷田宮神社が立っている。

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