Pace東京がオープン。「日本のアート界を発展させることを狙う」

AI要約

アメリカ発のPaceギャラリーが東京・麻布台ヒルズにオープンした。内装は建築家・藤本壮介が手掛け、非常にシンプルでアート作品を引き立てる空間になっている。

ギャラリーは一般公開の展示スペースと特別ビューイングルームを備え、約45作品が展示される。CEOのマーク・グリムシャーはアート文化の支援とアーティストの発展を強調している。

今後は、国内外の若手からベテランアーティストの作品を紹介し、日本のアート界の発展に貢献することを目指す。また、地元のギャラリーとの協力も重要視している。

Pace東京がオープン。「日本のアート界を発展させることを狙う」

 約2年の準備期間を経て、待望のPaceギャラリーがついに東京・麻布台ヒルズに幕を開けた。

 同ギャラリーは1960年、米国の美術商アーニー・グリムシャーがポストンにオープン。現在は、ニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドン、ジュネーブ、ソウル、香港に8つの拠点を持っており、東京にある新しいギャラリーは、その日本初の常設スペースとなる。

 麻布台ヒルズの低層部にあるギャラリーは、建物の3フロアにわたり、総面積510平米を超えるスペースを有している。内装をデザインしたのは、直島パヴィリオンをはじめ、世界各地でプロジェクトを手がける建築家・

藤本壮介。藤本がコマーシャルギャラリーの内装を担うのは今回が初めてとなる。

 7月3日に行われてプレス内覧会で、藤本はその空間デザインについて次のように語っている。「空間は非常にシンプルでクリーンだが、アート作品が入ることでエネルギーが生まれる。また、展示室のコーナーにカーブをつくり、壁が連続するように設計した。それがシンプルさと清潔さを引き立て、アートが映える空間となっている」。

 下位の1・2階は一般公開の展示スペースであり、最上階は特別ビューイングルームになっている。最上階は繊細につくられた階段でつながっており、それを登ると上階のガラス窓から光が差し込む。

 ギャラリースペースのオープンとともに、特別内覧会が7月6日~8月17日の会期で一般公開される。ジャン・デュビュッフェ

やアドルフ・ゴットリーブ、クレス・オルデンバーグなど20世紀の巨匠から、ロイ・ホロウェル、アリシャ・クワデ、ロバート・ナヴァ、アダム・ペンドルトンなどの現代作家まで約45作品が紹介されている。

 アーニーの息子で同ギャラリーCEOのマーク・グリムシャー

は、ギャラリーの目的を次のように強調している。「アーティストやその遺産・財団を代表し、作品を紹介し、美術館、コレクター、一般の人々と関わること。無料で人々がアートを見ることができるアート施設のひとつとして、エネルギーを生み出し、コミュニティと対話をつくり出してアーティストを支えながら、文化を支援することだ」。

 今後の目標について、グリムシャーは「世界中の人々が待ち望んでいる、もっともダイナミックで人気のある若手およびベテランアーティストを(東京で)紹介する」と話した。それにより、これらの作品を買い求めるコレクターが日本にやってくることが期待されているという。

 また、グリムシャーは地元のギャラリーと緊密に協力することの重要性も改めて述べた。Paceは、SCAI THE BATHHOUSE、TARO NASU、

ユミコチバアソシエイツ、タカ・イシイギャラリー

など日本のギャラリーと一部のアーティストを共同で取り扱っている。グリムシャーは、「これらのギャラリーはたんなる競争相手ではなく、エコシステムの一部。私たちの目標は、Paceを発展させることだけでなく、日本のアート界を発展させることだ」と語り、日本のアートシーンへのコミットメントを強調している。

 なお、Pace東京は9月にグランドオープンを予定している。こけら落とし展では、ロサンゼルスを拠点に活動するアーティスト、メイシャ・モハメディのアジア初個展が行われ、昨年と今年に制作された未発表の新作絵画などが展示される。