今年も酷暑!元気に夏を乗り切る3つのポイント…冷房なしでは過ごせないが、冷房かけすぎが不調を招く

AI要約

今年の夏は観測史上最も暑い可能性があるため、冷房必須の日々が続くが、「冷え」には注意が必要。

体の深部体温と免疫力の関係、冷房による冷えが免疫力低下を招く仕組み、そして冷えによる酵素の働き不全について。

体を冷やさない生活の重要性、半身浴や生姜湯の効果的な使い方について。

今年も酷暑!元気に夏を乗り切る3つのポイント…冷房なしでは過ごせないが、冷房かけすぎが不調を招く

 ウェザーニュースによると、今年の7~9月は、観測史上最も暑くなった昨年に匹敵する暑さとなる可能性とのこと。冷房必須の日々が続くだろうが、気を付けたいのは「冷え」だ。「漢方内科・婦人科・小児科 いくしま医院」(福岡県柳川市)の幾嶋泰郎院長に話を聞いた。

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「暑いからと、冷房をガンガンにかける。その中で、冷たい飲み物や食べ物を食べる。昔の夏と違って現代は、夏こそ体の深部を冷やす原因がたくさんあります」(幾嶋院長=以下同)

 冬のように明らかに寒ければ、自然と体を温めようとするが、夏は、本当は冷えているのに、それに気づいていないから厄介だ。

「体の深部体温は免疫力と密接な関係にあります。例えば風邪をひいた時、体内に侵入したウイルスを排除する防御反応として、体の表面の皮膚や筋肉に行く温かい血液が体の深部の血管に集まります。体に悪寒がはしり、しかし熱が出るのはそのためです。逆に、冷房がかかった冷えた環境で過ごすと、それ以上冷えないように、温かい血液が体の表面の皮膚や筋肉に行くので、体の深部が冷えてしまい、かえって免疫力が低下するのです」

 一時的であればまだいいものの、昨今は残暑が厳しいので秋に入っても冷房をつけっぱなし。1年の4分の1ほどは冷房の中で過ごすことになり、「冷え」が容易に慢性化してしまう。

「体内には生きていく上で欠かせない働きをする酵素があり、食べ物の消化・吸収に関わる消化酵素と、呼吸、運動、思考、エネルギー産生、自然治癒力などに関わる代謝酵素に大別できます。これらどちらの酵素も37度近い体温がないとうまく働きません。『冷え』があると消化不良や疲労感など、さまざまな不調が出てくるのはそのためです」

 冷えで酵素の働きが悪くなると、タンパク質の吸収も合成も低下して筋肉などの組織をつくることに支障を来し、熱の産生が滞る。つまり、「冷え↓熱産生低下↓さらに、冷え」といった負のスパイラルを招く。

「冷えの人は、深部体温がそれ以上下がらないように、ノルアドレナリンという交感神経を緊張させるホルモンが分泌され、末梢神経が収縮しています。交感神経が優位ということは、精神的緊張も伴っているということですから、睡眠に影響を与える。質の良い睡眠を得るには、交感神経と副交感神経のバランスが重要になります」

■38~40度のお湯で半身浴

 幾嶋院長は、漢方薬を治療に積極的に取り入れている。漢方薬には体を温める作用のものが多く、患者の体質に合ったものを選ぶことで症状の改善が見られるが、さらに提案しているのは「体を冷やさない生活」だ。

「話を聞くと、みなさん、冷房で部屋の温度を下げ過ぎ。25度以上にすることをすすめています。冷え過ぎないようにするだけでも、不調がかなり改善する方がかなりいます」

 具体的には、まず半身浴。夏は38~40度くらいのお風呂にみぞおちくらいまで漬かる。額にじわっと汗がにじみ出てくるくらいまでが、時間の目安だ。

「額に汗をかくのは、深部体温が上がっているから。半身浴から上がる時は、洗面器いっぱいの冷たい水を足にかけてください。体は温まっていますが、皮膚の血管が開いているので今度はそこから熱が逃げていきます。冷たい水を適度にかけると皮膚の血管が縮まって深部で上昇した温度が下がりにくくなります」 

 次に、ヘアドライヤーの温風を顔の下から上に向けて鼻、口、のどに吹きかけると鼻の奥、のどの奥の粘膜が温まる。風邪をひいた時、サラサラした鼻水がよく出る人は、特に効果的。

 そして、生姜湯だ。

「生姜をすりおろすだけでもいいのですが、もっといいのが『乾姜』です。干した生姜のことで、体を温める成分が増すのです。天干しでは1週間ほど時間がかかるので、自宅で作る時は、生姜を皮ごと薄くスライスし、20分蒸して、その後80度に熱したオーブンで80分ほど、カリカリになるまで焼く。そのまま食べてもいいし、紅茶に入れたり、お湯と蜂蜜を加えたり、味噌汁の具材やご飯のおかずにしてもいい。冷蔵庫に入れなくても密封容器に入れておけば、何カ月も保存できます。携帯用にしてもいい」

 今日からやってみよう。