男性更年期、ED、セックスレス「このままでは日本人が絶滅する!?」男性医療の第一人者が語る「本当のヤバさ」

AI要約

男性更年期について、症状や来院のきっかけ、診察の概要などが語られている。

男性更年期の症状は肉体面、精神面、性機能面に分かれ、精神面での患者が多いことが述べられている。

男性更年期の兆候にはイライラや元気のなさがあり、周囲の人が気づいて来院を促すケースも多い。

男性更年期、ED、セックスレス「このままでは日本人が絶滅する!?」男性医療の第一人者が語る「本当のヤバさ」

40代50代働く女性のためのメディアであるオトナサローネは、男女両性が迎える更年期に等しく課題感を持ち、男女がお互いに助け合い脱落を生まない社会環境を実現するための啓もう活動「アフタヌーンエイジプロジェクト」を進めています。

さて、私たち団塊ジュニア世代が50代に差し掛かるとともに、急激に関心が高まりつつあるのが「男性更年期」。性機能医療のトップランナー、順天堂大学医学部附属浦安病院 泌尿器科 教授 辻村晃先生にお話しを伺いました。

――男性更年期という言葉がにわかに注目を集めたのは、2年前、タレントのヒロミさんがご自身の症状を語ったタイミングだなと感じています。臨床の現場ではいかがでしょうか。

男性更年期という言葉が最初に世に出たのは2000年10月発売の書籍、漫画家のはらたいらさんの『はらたいらのジタバタ男の更年期』です。体がだるい、気持ちが落ち込む、若いころのようにはマンガが描けないなどの内容が話題になりました。

それから20数年の間、じわじわと取り上げられて、僕だけで複数回テレビに出演しています。ヒロミさんやサンプラザ中野さん、渡辺正行さん、東国原英夫さんなど著名なタレントさんたちが体験をお話になるたびに認知が広がっていきました。

ヒロミさんはお元気じゃないですか、趣味もあって、日曜大工でいろいろ作ったり、射撃をしたり。あれだけ多趣味で人生をいろいろ楽しんでいる人だからこそ、男性更年期でしんどいという発言が驚きを持ってメディアで取り上げられるのでしょう。

――その、男性更年期とはどのようなものなのでしょうか。

男性ホルモン、テストステロンの分泌量は20歳をピークに減少します。男性も女性と同様に、男性ホルモン量が減ることで、男性ホルモンに影響されている機能が衰えて不調が現れます。

訴えは大きく分けて3つあります。体がだるい、しんどい、寝付けない、汗をかく、疲れるなど「肉体面」の症状は女性の更年期と同じです。やる気が出ない、パニックになる、不安がある、うつが強いなどの「精神面」の症状も同じ。その他に、男性特有の「性機能面」の症状があります。勃起力、性欲低下や、精液の量が減ってきたという症状です。

性機能面が低下しても社会的にはさほど困ることはありませんが、精神面でメンタルが落ち込んで仕事に出勤できない、仕事の能率が著しく落ちたという場合は社会の中で問題になります。それが男性更年期と認識されるのだと思います。

――男性は病院に行くのが苦手と聞きますが、それでも男性更年期で来院する人たちはどのような症状で悩んでいるのでしょう。来院のきっかけは?

僕は男性更年期の専門外来で診察をしています。「性機能面」「肉体面」「精神面」で患者さんの数は我々の施設で3:3:4。やや精神的な問題での来院が多く、精神科にかかってからこちらにやってくる人もいます。

男性更年期の典型的な兆候のひとつは、イライラしているか、元気がなくなって笑顔が減っているかのどちらかです。これを奧さんや女性の同僚、友人、家族が、雰囲気が変わったなと感じ取って来院を促すケースも増えています。「自分ではそう思わないけれど、最近よく怒るから行ってきたらと言われて受診しました」という例です。しんどくて仕事に行けない、休職しているけれど精神科の薬で思うように回復しない、通勤がしんどくて在宅勤務にしているなどの話もよく聞きます。

性機能面では、昔はEDは「男性機能外来」に行く人が多かったのですが、その名がズバリ「性機能に悩みがある人の外来」なので心理的なハードルがありました。「更年期外来」のほうが問題がぼやけて、かかりやすくなったのでしょう。なので、勃起力の低下について相談にくる人も3割いるのだと思います。