パリ・オリンピックのマラソン競技コース上の見るべき名建築10

AI要約

パリ2024オリンピックのマラソンコースは、パリの魅力を凝縮しており、17の名建築を巡るエキサイティングなルートとなっている。

マラソンが始まるパリ市役所や、現代アート美術館など、コース沿いには歴史や芸術を感じられる建物が並び、参加者や観客を魅了する。

安藤忠雄が手掛けた美術館では、世界屈指の現代アートコレクションが展示され、建築好きにとっても見逃せないスポットとなっている。

パリ・オリンピックのマラソン競技コース上の見るべき名建築10

7月26日から開催される「パリ2024オリンピック」。セーヌ川での開会式から始まり、今までになかった「街全体が会場」と「スポーツと文化の融合」をめざす今大会は、最終日のマラソンも、そのスローガンを体現すべく、考え尽くされている。

コースは、パリの魅力をこれでもかと見せつける、エキサイティングな名建築巡り。テレビ観戦のお供に、ルート上から目にすることのできる、厳選の16スポットをご紹介。

「歴史と芸術の街パリ」は、マラソンコースに凝縮されている。まずは、その行き先。フランス革命時に、国王のいるヴェルサイユ宮殿まで市民が行進したルートを基にしているのだ。オリンピックというチャンスに、「人権と自由の国フランス」をアピールしている。ちなみに、今大会のマラソンは、初めて男子の後に女子のレースを行ったり、同日夜には一般市民の参加できるマラソンも開催したりとさまざまな形で、既存の型にはまらない新しい試みに果敢に挑んでいる。

そして、パリ市内のコースは、新旧のパリの名所を案内するかのように、右に左にと、名建築が現れるように引かれている。地図と走行距離を頼りに、注目のランドマークをスタートからゴールまでチェックして。

スタートは、パリのど真ん中の壮麗なネオルネッサンスの館

元は1357年に建てられたというパリ市役所は、1871年のパリコミューンの際に一度は消失したのだが、1882年にはより大きく増築され、壮麗なネオルネッサンス様式の姿で蘇り現在に至っている。

市庁舎の中には、セーヌ川を望む市長のオフィスや、重厚な木の彫刻で覆われた市議会の会議室だけでなく、さまざまな式典や催事の行われる豪華なホール、写真展など無料の展覧会場もある。マラソンがスタートする市役所前広場では、夏にはメリーゴーランド、冬にはスケートリンクなどが設置され市民の憩いの場となっている。

安藤忠雄が手掛けた、現代アート美術館

レストランで温かい料理の上に被せるクロッシュのような半球形シルエットの建物は、2021年にオープン以来、建築好きなら見逃せない、現代アートの美術館だ。16世紀にカトリーヌ・ド・メディシスの屋敷が建てられたが、今も残る塔一つを残して解体されたところに、1797年に穀物取引場として大きな円形の建物が造られた。1889年のパリ万博の際に、メタルフレームに支えられたガラスのドームが加えられ、華麗な天井画も描かれて、エッフェル塔と並ぶ世紀末パリの代表的な建築となった。

ラグジュアリーブランドグループ「ケリング」のオーナーで、世界屈指の現代アートコレクターでもあるフランソワ・ピノーの膨大なコレクションを企画展として披露している。

歴史的な建物の内部の空間を、全く新しい展示スペースに作り替えたのは、安藤忠雄。ドームの内側に、巨大なコンクリートのシリンダーが円を描く、という、スペースの特殊性を見事に尊重しつつ、完璧に安藤スタイルな驚きのデザインだ。