室内飼育のネコが引き起こす「日光過敏症」…動物病院の高額な検査誘導を回避するひと言【ワンニャンのSOS】

AI要約

この時季、完全室内飼育のネコちゃんが紫外線のトラブルに注意が必要。

日光過敏症の症状や治療方法、注意点について紹介。

注意しておくべき医師の説明や検査費用についても考慮が必要。

室内飼育のネコが引き起こす「日光過敏症」…動物病院の高額な検査誘導を回避するひと言【ワンニャンのSOS】

【ワンニャンのSOS】#67

 紫外線が気になる季節になりました。サングラスや日焼け止めなどで対策している飼い主さんは少なくないでしょう。実はこの時季、完全室内飼育のネコちゃんが紫外線のトラブルに襲われることがよくあります。今回は、その対応について紹介しましょう。

 室内飼育のネコちゃんも日光浴が趣味で長時間日差しを浴びていると、肌が露出している額や耳翼などにアレルギー性のかゆみが生じて、患部を床にこすりつけたり、ツメでひっかいたり。そんなことを繰り返すうちに皮膚炎に波及します。これが日光過敏症と呼ばれる症状で、紫外線が強くなるこの時季に発症しやすいのです。

 最近は、紫外線をブロックするオゾン層が薄くなり、温暖化も加速。そのせいか、いまごろから9月くらいにかけて、完全室内飼育のネコちゃんでも日光過敏症を引き起こすケースが珍しくありません。窓越しでの日光浴を好むタイプです。

 古くは自宅と外を行き来するタイプや野良ちゃんなどに多く、ノミやダニ、シラミなどとの鑑別も重要でした。当時を知る獣医師としては時代の変化を感じますが、完全室内飼育なら寄生虫の可能性はすんなりと否定できるでしょう。

 まず指摘しておきたいのは、日光浴をやめさせる必要がない点です。この症状は紫外線の悪影響によるものですが、紫外線はヒトと同様に皮膚の新陳代謝を高め、ビタミンDなどの合成に不可欠です。紫外線は生命活動にとても重要ですから、ネコちゃんの日光浴はぜひ継続を。

 では、治療をどうするか。症状が軽ければ外用薬の塗布でもよいと思いますが、ベタベタを気にするタイプのネコちゃんだとかえってそこを気にして、余計に患部をいじって悪化させる恐れもあります。そんなタイプなら、3、4日薬を服薬する方がベターです。内服させるのが大変なら、注射があります。2日ほど続けて薬を注射すれば、治ります。

 このように治療はそれほど難しくありません。しかし、注意点もあります。飼い始めてまもないネコちゃんを初めて受診した動物病院では、驚くような説明を受けるかもしれません。ここ2週間ほど日光過敏症で2軒目として受診された飼い主さんは、こう言われたそうです。

「純血種のため、免疫系やホルモンの異常で脱毛しているのかもしれません。まずは検査して原因を突き止めることが必要です」

 その説明で高額な検査に誘導されたことから不審に思い、受診されたそうです。確かにそういう可能性がなくはありませんが、かなり高額。対症療法として検査せずに治療すれば、安価で済みます。

 ただし、紫外線が弱まる10月ごろまで、このタイプのネコちゃんは症状がぶり返します。もし耳や額の皮膚炎などで、かかりつけ医に受診される場合、検査費の高さが気になったら、「まずは対症療法から」とお願いしてみてはいかがでしょうか。

(カーター動物病院・片岡重明院長)