イタリア料理の神髄とは? 世界的三つ星シェフの答えは「ブルガリ ホテル 東京」に

AI要約

ブルガリは色彩豊かで大胆なデザインで人々を魅了してきたハイジュエラーで、アンディ・ウォーホルも絶賛した。

ブルガリホテルのメインダイニングを監修するシェフ、ニコ・ロミートさんは、経済学を学びながらシェフとして成功を収めた異色の経歴を持つ。

自然豊かなアブルッツォ州からインスピレーションを受けた、ロミートさんの料理スタイルは地元の食材や伝統を大切にしながらも革新的であり、長年の努力が実を結びスターシェフとしての地位を築いた。

イタリア料理の神髄とは? 世界的三つ星シェフの答えは「ブルガリ ホテル 東京」に

ポップアートの巨匠、アンディ・ウォーホルに「ブルガリの店に行くのは最高のコンテンポラリーアート展に行くようなもの」と言わしめたハイジュエラー、ブルガリ。1884年にイタリアのローマで創業し、伝統と革新を併せ持つ、色彩豊かで大胆なデザインで人々を魅了してきた。2004年からはイタリアのミラノを皮切りに、ブランドのコンセプトを体感できる「ブルガリ ホテル」を開業。現在は世界9都市で展開する。2023年4月には東京にも「ブルガリ ホテル 東京」がお目見えした。

同ホテルのメインダイニング「イル・リストランテ ニコ・ロミート」を監修するのは、世界で最も有名なシェフの一人、ニコ・ロミートさん。故郷のイタリア中部・アブルッツォ州にある自身の店「レアーレ」は2014年以来、ミシュラン三つ星を獲得し続けている。

次世代のシェフを育てるための料理学校も設立。健康的な食について世界経済フォーラムで発信するなど、社会に向けた活動も幅広く展開。中国の北京、上海やアラブ首長国連邦(UAE)のドバイに「ブルガリ ホテル」が開業するのを機に、2017年、このホテルのプロジェクトに加わった。なぜ、ブルガリとロミートさんが手を組むようになったのか。6月13日のディナーからスタートする夏メニューの監修などで来日したロミートさんに話を聞いた。

ロミートさんはシェフとして異色の経歴を持つ。大学で学んだのは経済学。金融業界での活躍を目指していた。ところが父が亡くなり、家族で経営していたレストランを継ぐことになる。2000年のことだ。調理学校に通った経験もなく、全くゼロからのスタートだった。

「とにかく、レストランを維持することに懸命だった。人口500人ほどの山中の村にある店を離れることはできなかったので、村にこもり独学で勉強した。今のようにインターネットが普及していない時代だから、とにかく料理本を読んで片っ端から試した。最初に手掛けたのは伝統料理、いわゆる家庭料理。当初はお客様が訪れない非常に厳しい時代があった」という。

しかし、2006年にイタリアの有名レストランガイド「エスプレッソ」で「今年の若手シェフ」に選ばれたことなどを機に、瞬く間にスターシェフにまで上り詰めた。「少しずつ結果が出るのに伴い、欲が出てきた。自分の料理をどう表現したらいいか、どう成長したらいいかを考え始めた。棒高跳びのバーを徐々に上げていくように、自分の壁を破っていった」

アブルッツォは自然豊かな土地だ。「自然が豊かすぎて、むしろ孤立しているような州」だと打ち明ける。郷土料理は見た目で人を引き付けるような主張が強いものではなく、地元だけで食べられるようなもの。「他のシェフなら、この場所でレストランを続けるのを諦めたかもしれない。しかし、この孤立したアブルッツォの地に固執したからこそ、今の料理スタイルを築くことができた」。レストランのある土地やイタリアらしさ、生物の多様性などを料理に反映させることに大きな情熱を傾け、勉強を重ね、技術を学び、新しい料理スタイルの境地を開いてきた。