「関節リウマチ」の初期症状や治療法は? 治療中でも妊娠・出産は可能?子どもに遺伝はする?【医師解説】

AI要約

関節リウマチは、免疫が自分の関節を攻撃する病気で、関節の腫れや痛みが主な症状として現れる。

早期の治療が重要であり、発症から2年以内に治療を始めることが症状の進行を抑えるために大切。

治療法は、内服の免疫抑制薬から生物学的製剤の注射まで幅広い選択肢があり、患者さんとの相談を通じて最適な治療法を選ぶ必要がある。

「関節リウマチ」の初期症状や治療法は? 治療中でも妊娠・出産は可能?子どもに遺伝はする?【医師解説】

つらい痛みや腫れた関節と長く付き合っていくイメージがある「関節リウマチ」。しかし、最近は治療薬の進歩とともに症状を感じずに過ごせるようになる患者さんも多くなってきているそうです。今回は、関節リウマチの症状や治療法に加えて、治療中の妊娠や出産などについて、「板橋腎・リウマチ隼聖クリニック」の上野先生に解説していただきました。

[この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]

編集部:

まず、関節リウマチについて教えてください。

上野先生:

関節リウマチは、自分の免疫が自分の手足の関節などを攻撃してしまう疾患です。本来、ウイルスや細菌などの異物が侵入した際に外敵から自分を守るために働く免疫が自分自身の関節を攻撃してしまうことで、関節症状をはじめとした様々な症状が表れます。関節の炎症が長く続くと、関節の構造が破壊され、関節の変形や痛みがずっと残ります。

編集部:

どのような症状が表れるのでしょうか?

上野先生:

関節の腫れや痛み、動かしにくさが主な症状です。特に「朝方に手の指がこわばる」のが、リウマチの初期症状としてよくみられます。ほかにも、「ペットボトルの蓋を開けるときの指の痛み」や「タオルを絞るときなどの手首の痛み」もよくある症状です。また、リウマチは足にも症状が出ることもあります。具体的には、足の指の付け根や土踏まずの痛みを訴える患者さんがいらっしゃいます。

編集部:

関節以外の症状には、どのようなものがありますか?

上野先生:

疲れやすさや体重減少がよく起こります。また、稀に血管に炎症を起こし、発熱、皮膚症状、神経炎、血管の閉塞(梗塞)などを起こすこともあります。

編集部:

なぜ、関節リウマチになるのですか?

上野先生:

関節リウマチが発症する原因は、現時点で明らかになっていません。ただ、いくつかの遺伝的要素が重なり、そこにウイルス感染、ストレス、喫煙などの環境による刺激が加わることで発症すると考えられています。

編集部:

関節リウマチになった場合、どのように治療していくのですか?

上野先生:

これまで、関節リウマチは発症して10年以上経過してから関節が壊れていくと考えられていました。しかし近年の研究から、リウマチを発症して2年以内が最も急速に症状が進行するということがわかりました。そのため、発症から2年以内にしっかり治療することが、進行を遅らせるために非常に重要な時期と考えられています。この時期に治療をおこなえば、症状がほぼなくなった「寛解」状態に至る患者さんも多いですね。その一方で、関節が壊れてしまった後に治療をしても効果があまりないことも多いため、できるだけ関節リウマチを早期に発見し、早い時期から治療を始めて、腫れや痛みを抑えると同時に関節を破壊から守っていくことが重要です。

編集部:

具体的な治療法についても教えてください。

上野先生:

治療の基本は、自分自身を攻撃する免疫を抑える「免疫抑制薬の内服」になります。それでも関節症状が改善しない場合は「生物学的製剤の注射」など、次のステップの薬剤を使用して効果的に炎症を鎮めていきます。以前と比較して、現在は治療法の選択肢も多くなっているので、患者さん一人ひとりと相談しながらその患者さんに適した治療法を選択し、治療目標を一緒に決めます。そして、定期的に検査をしながら薬の効果や副作用の有無を確かめながら、治療を進めていきます。