岡田准一が語る「デ・キリコ」の魅力と9・11後のNYでの印象的な美術体験

AI要約

俳優の岡田准一さんが美術館の魅力や自分との対話について語る。

美術館は作品を通じて自己とつながる場所であり、事前に調べてから作品を鑑賞するタイプである。

戦争を経験したデ・キリコの作品や人生に興味を持ち、他人に対する攻撃的な面にも真面目な一面を見出す。

岡田准一が語る「デ・キリコ」の魅力と9・11後のNYでの印象的な美術体験

「美術館が好き」だという俳優の岡田准一さん。美術館は作品を観るだけでなく「自分との対話」をする場所だと語ります。そんな岡田さんに、美術館の楽しみ方と、2024年4月27日(土)から東京都美術館で開催されている「デ・キリコ展」の魅力を聞きました。美術展に合わせて発売された『【芸術AERA】デ・キリコ大特集』より特別公開します。

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――美術館にはよく行かれるそうですが、その魅力は何でしょうか?

 作品を観るだけではなく、「自分との対話」をする場所だと思っています。作品と自分をつなげるものがあるとしたら、それは何か? そういうものを見つけていくのが美術館の面白さだと思います。

――「対話」というのは僕もよくわかります。

 自分を知りたい、自分をじっくり見つめたいときに美術館に行くといいと思います。自分と対話できる場所は、こういう時代に必要ですよね。

――事前に勉強していくタイプなのですか?

 そうですね。僕は作品よりも、その先にいる「人」だと思っていて、画家のことを知りたい。その画家の人生を知って絵を感じる。だから、調べてから行きますね。

――デ・キリコはどんな画家だと思いますか?

 2度の戦争を経験した人というのが大きい。戦争を経験している世代のアートは、スペインの画家ピカソの「キュビスム」みたいに形が崩れたりしていますよね。死が身近にあるせいか、不安がある。2度の戦争経験者という視点でデ・キリコの人生を見ていく興味深さはあると思います。

――同時代の画家や批評家にも攻撃的で、性格的にも付き合いづらい人のようですしね。

 他人を否定する人で、「ゴーガンは偽物だ」「マティスは絵にすらなってない」みたいな(笑)。そういうタイプの人を、劣等感が強いから他人を攻撃しているのだと捉えるか、自分を高めていくために疑問を持ち続け、自問自答した真面目な人と捉えるか。鬱病になるくらいだったので、恐らく真面目な人だったんだろうなと思いますね。