森林がない尼崎市が「木育」を始める…県産木材使った積み木、幼稚園・保育園に配布

AI要約

尼崎市が子どもたちに木育を始め、県産木材を使った積み木を配布する取り組みを行っている。

積み木は森林で育つ木々を使った「あまいろつみき」という名前で、森林の大切さを学ぶための教材として幼稚園に導入される。

尼崎市は森林環境税を活用し、森林保全サイクルの一翼を担いながら森林の啓発活動に力を入れている。

 市街地や住宅地、工業地域が広がり森林がない兵庫県尼崎市が6月から、子どもたちに木への親しみや森林の大切さを教える「木育」を始めた。市内の幼稚園などに県産木材を使った積み木を配布。木を使うことで森が守られていることをわかりやすく学んでもらう。(妻鹿国和)

 積み木は、直方体や円柱、三角柱など520ピースで1セット。名前は「あまいろつみき」で、「雨水」を蓄える森林で育つ木々を使った「あまた」な色の「尼崎」の積み木という意味を込めた。2年間で市内の幼稚園・保育園(計約170園)の5歳児クラスに届ける。

 このほか、木のおもちゃ「モーリー」が水源を大切にすることや生物多様性を守る森林の役割を伝える紙芝居、家庭で学べるように保護者に同じ内容の絵本も配る。

 尼崎市環境創造課によると、子どもへの木育に関する事業費は約4100万円。2019年度に始まった国から配分され自治体の森林整備などの費用に充てられる「森林環境譲与税」を活用する。市には19年度に1700万円が配分され、20~22年度は3400万~4700万円だった。

 森林のない尼崎市は、森林の保全や林業就業者の育成支援に資金を使えず、木材の利用促進に使途が限られていた。公共施設の建材や内装に使ったものの「金余り」が発生。余剰金は約4800万円に上り、基金に積み立てられていた。

 今年6月からは森林整備の財源となる「森林環境税」の徴収が始まり、個人住民税に年1000円を上乗せされる。同課は「県産木材を使うことで持続可能な森林保全サイクルの一翼を担うとともに啓発にも力を入れていく」としている。