道端で轟音、たまに見かける〝草刈機〟危なくないの?歩行者の事故も 「小石が50m以上飛散」と注意喚起

AI要約

国民生活センターが草刈機による事故に注意を呼びかけ、29件の事故が寄せられたことを報告。

刈刃に触れた事故や飛散物による事故が多く、安全に使用するための注意点を示唆。

周囲の人にも十分な距離を保つことが重要であり、取扱説明書の確認や機器の点検を呼びかけ。

道端で轟音、たまに見かける〝草刈機〟危なくないの?歩行者の事故も 「小石が50m以上飛散」と注意喚起

「使用方法に注意しないと、思わぬ事故を起こす」と国民生活センターが呼びかけたのは、道端で轟音と共にたまに見かける草刈機(刈払機)でした。エンジンまたはモーターを動力源として、高速回転する刈刃などにより草を刈る機器ですが、作業者だけでなく周囲にいた歩行者の事故もあり、再現実験では小石が最大50m以上飛散したということで、注意が必要です。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎)

国民生活センターは8月下旬、動力により高速回転する刈刃などで草を刈る機器により、2019年度から2024年6月末日までの5年間あまりで草刈機による作業中の事故が29件、寄せられており、作業者本人がけがをした事例のほか、周囲にいる人にけがを負わせてしまった事例もみられたとして、注意を呼びかけました。

草刈機(刈払機)は、エンジンまたはモーターを動力源として、高速回転する刈刃など(金属以外にナイロン製のコードで草を刈るナイロンコードカッターも普及)により草を刈る機器。

刈刃は一般的に反時計回りに回転し、左側の前3分の1の部分で、草刈機を右側から左側に振った際に草を刈り、左側から右側に振る際には草を刈らないのが使用方法です。

刈刃の先端から右側90度の範囲が、障害物などに接触すると、回転方向の反対側(右側)に跳ね返される“キックバック”が発生することがあります。

消費者庁と国民生活センターの共同事業・医療機関ネットワークに寄せられた事故事例29件をセンターが分類すると、刈刃に触れた事故が17件(59%)、飛散物による事故が11件(38%)、その他の事故が1件(3%)でした。

また、刈刃に触れた事故17件の原因を調べたところ、転倒が原因となった事例が2件(12%)、刈払作業者に別の作業者に接近したことが原因となった事例が2件(12%)、キックバックが原因となった事例が1件(6%)、異物の除去中に刈刃が回転したことが原因となった事例が1件(6%)、原因不明が11件(64%)でした。

このうち、飛散物により作業者以外が受傷した実例では、工場敷地にて草刈りをしている脇を歩行者が通り過ぎた際に、鼻に金属片が刺さったということです。金属片は、敷地の土手に埋まっていたネットフェンスの一部でした。

同センターが飛散物による事故を再現したところ、小石の最大飛散距離は、4枚刃の刈刃で約54m、ナイロンコードカッターで約35m、8枚刃の刈刃で約25mでした。

チップソー(金属刃)では小石は大きく飛散はしませんでしたが、チップが破損し飛散することがありました。また、比較的、安全性の高いナイロンコードカッターでも、多量の小石を飛散させると、約15mの範囲内に飛散することが確認されました。

轟音を立てることもあり、作業には気づきやすいと言える草刈機。歩行者など周囲の人は、少なくとも、作業者からは15m以上、離れることが望ましいとされます。

こうした事故を避けるために、同センターは作業者向けの「必ず取扱説明書を確認して使用方法や注意点を理解し、機器の点検を行って正しく使用しましょう」といった注意のほか、周囲の人にも「刈払作業中の作業者には近づかないようにしましょう」と呼びかけています。