バッファロー、小規模オフィス・SOHO向けNAS新製品「TS3030シリーズ」を発表

AI要約

株式会社バッファローは8月29日に事業戦略発表会を開催し、法人向け分野における新機能や新製品について発表した。

新機能として、リモート管理サービス「キキNavi」にリモート設定機能を追加し、NASの設定を遠隔地からフルに行えるようにする。また、法人向けNAS「TeraStation」にはTS3030シリーズを新たに発表し、セキュリティ強化機能も近日公開予定。

さらに、法人向けNAS向けに異常ファイル操作検知機能などセキュリティ強化の4機能を近日リリース予定。

バッファロー、小規模オフィス・SOHO向けNAS新製品「TS3030シリーズ」を発表

 株式会社バッファローは8月29日に事業戦略発表会を開催し、その中で法人向け分野における新機能や新製品について発表した。

 まず、同社の法人向け製品のリモート管理サービス「キキNavi」において、遠隔地からNASの設定をフルに行える「リモート設定」機能を発表した。9月下旬より提供開始する。

 また、法人向けNAS「TeraStation」において、小規模オフィスやSOHO向けに位置する新製品「TS3030シリーズ」を発表した。「TS3020シリーズ」の後継にあたる。10月下旬より販売開始する。

 そのほか、TeraStation向けに、ランサムウェア感染を早期検出する「異常ファイル操作検知」機能など、セキュリティ強化に関する機能を近日公開することも発表した。

■ 法人向けNASの設定をリモートからフルに行える「リモート設定」機能を9月下旬提供開始

 キキNaviに追加されるNASのリモート設定機能は、ローカルでNASのWeb設定画面から設定するのと機能もUIもほぼ同じに、リモートから設定を行える機能だ。利用は無料で、9月下旬から提供開始する。

 キキNaviは、インターネット経由で企業内にあるバッファローの法人向けルーターやアクセスポイント、スマートスイッチ、NASの一元管理を可能にするクラウド型のリモート管理サービス。主に、ユーザー企業が導入から保守管理まで外部に委託している場合に、委託先の保守管理会社/SIerが利用することを想定している。

 これまでもトラブル時にリモートで対応する遠隔簡易操作の機能はあったが、今回のリモート設定機能は、ローカルでできる設定管理操作をほぼ行えるのが特徴だ。

 Web上のキキNavi画面から管理対象のNASを選んで「リモート設定の開始」をクリックすると、あらかじめPCにインストールしてあるリモート設定接続ツールが起動し、対象NASとの間がセキュアな通信で結ばれる。そのうえで、対象NASのWeb管理画面が表示される。そのため、ほぼローカルと同じ設定管理操作ができる。ただし、IPアドレス変更のように誤設定するとキキNavi管理ができなくなる設定を実行するときには、リモート設定のときだけ警告が表示される。

 また、キキNaviでは作業担当者とその操作権限を一元管理する。そのためリモート設定でも、複数のNASを管理したり、複数人で保守作業を分担したり、1人の担当者が外れるときにもキキNaviでユーザーを削除するだけで全機器にアクセスできないようにしたりできる。

 リモート設定機能の対象機種は、TS5020シリーズ、TS5010シリーズ、TS3030シリーズ、TS3020シリーズ。以後、TS7010シリーズ、TS6000シリーズに順次対応する予定。

 なお、リモート設定接続ツールは、株式会社デジオン(DigiOn)が開発しているDiXiMの技術を利用している。

 発表会ではリモート接続機能の提供背景として、中小企業と委託先保守管理会社の両者に聞いた調査結果を、株式会社バッファロー 事業本部 法人マーケティング部 次長の山田磨氏が紹介した。

 これによると、まず中小企業については、7割以上の企業が情シス担当者が5名以下であり、これも約7割が情シス業務を外部委託していると回答している。

 一方、保守管理会社でも、4割以上が担当者の人数が十分ではないと思っていないと回答している。また、半数以上がリモート管理を利用しておらず、利用していない6割以上が業務負担を感じており、さらに利用していない理由としては料金が高いことが49%となった。

 今回のバッファローの「リモート設定」機能はこの問題への対応であり、これまで設定変更のたびに現地に訪問する必要があったのが、リモートで設定変更が可能になり、追加費用も不要だと山田氏は説明した。また、事前にバッファローのパートナーである保守管理会社に聞いた声として、ユーザー企業への訪問の移動時間の削減や、ユーザー企業の営業時間でないときに作業を行うのがやりやすくなることなどが紹介された。

■ 小規模オフィスやSOHO向けの法人向けNAS新製品「TeraStation TS3030シリーズ」10月下旬販売開始

 法人向けNAS「TeraStation」については、新製品「TS3030シリーズ」が発表された。2ドライブのデスクトップモデル「TS3230DNシリーズ」と、4ドライブのデスクトップモデル「TS3430DNシリーズ」、4ドライブのラックマウントモデル「TS3430RNシリーズ」の3シリーズからなる。10月下旬より販売を開始する。

 小規模オフィスやSOHO向けの「TS3020シリーズ」の後継にあたり、2.5GbEの2.5GBASE-Tを1ポート搭載している。強化点としては、CPUが64bitになり(Annapurna AL524 2.0GHz 4core 64bit)、メモリは2GBに増えている。これにより処理能力が向上し、同時接続数45台での安定動作を確認しているという(TS3020では40台)。

 通信では従来と同様に、2.5GbEの2.5GBASE-Tを1ポート搭載しており、カテゴリー6/5eのケーブルでも、2.5GbE対応スイッチと接続して従来より高速に通信できる。

 そのほか、前述したキキNaviのリモート設定機能に対応。さらに、後述する異常ファイル操作検知機能などにも対応予定。

 価格は、TS3230DNシリーズが185,900円~(8TB(4TB×2)モデル)、TS3430DNシリーズが498,300円~(32TB(8TB×4)モデル)、TS3430RNシリーズが520,300円~(32TB(8TB×4)モデル)。

■ 法人向けNASの異常ファイル操作検知機能などセキュリティ強化を近日予定

 同日、法人向けNAS「TeraStation」について、セキュリティ強化に関する4機能を近日リリース予定であることも発表された。

 まず、ランサムウェア対策のための「異常ファイル操作検知機能」だ。これは、NAS上でファイル操作を監視して、ランサムウェア感染による異常なファイル操作を検知して、キキNaviで管理者に通知するものだ。

 基本としては、異常な拡張子のファイルを検知する。また、スナップショット対応TeraStationであれば、設定した時間間隔ごとのファイル量の変化も監視して異常を検知し、スナップショットを保持する。

 ほかの3つの新機能としては、ルーターなどにあるような「ファイアウォール(パケットフィルター)機能 」や、ログイン失敗が連続した場合にアカウントやIPアドレスをブロックする「不正ログインブロック機能」、別売のウイルスチェック機能で検出した感染ファイルの書き込みを行ったアカウントやIPアドレスを出力する「感染ファイルのアクセスログ出力機能」が提供される。

 このうち、異常ファイル操作検知機能については、発表会でもアナウンスされた。株式会社バッファロー 事業本部 法人マーケティング部 部長の富山強氏は、これは感染そのものを防ぐものというより、早期に発見して感染拡大を防ぐものだと説明し、「お客さまから『100%は防げないが、なるべく早く対応したい』と言われて開発した」と語った。

 対応機種は、TS5020シリーズ(スナップショット対応)と、TS3030シリーズ(スナップショット非対応)。提供時期は現在のところ前述のように「近日予定」だが、富山氏は、9月下旬のリモート設定機能より後、10月下旬のTS3030シリーズより前に出したいと考えていると答えた。

■ 法人向けソリューションや事例を紹介

 事業戦略発表会では、そのほか法人事業について説明がなされた。

 法人事業の概況については、株式会社バッファロー 専務取締役の和田学氏が紹介した。

 法人事業のコンセプトは、「Communication」「Products & Supply Chain」「Support & Service」の3つで語られた。

 「Communication」としては、全国13箇所の営業拠点を置き、主要拠点にはフィールドエンジニアも配置。さらに販売パートナー支援の「VARパートナープログラム」に登録事業所約4,300社を擁して地域密着で顧客をサポートする。

 「Products & Supply Chain」としては、法人向けに無線LANアクセスポイント、ルーター、スイッチ、NASの製品と、そのリモート管理サービスであるキキNaviをそろえる。その法人向けNAS「TeraStation」は20周年を迎え、累計出荷台数125万台を突破した。キキNaviも5周年を迎え、国内累計管理台数は92,000台を突破した。

 こうして法人向け商品の売上は成長傾向を維持しており、2024年3月期は2018年3月期比で133%となったと和田氏は語った。

 続いて、前出の事業本部 法人マーケティング部 部長 富山強氏が、法人向けソリューションとその導入事例を紹介した。

 まず、「ハイブリッドワーク・業務デジタル化のインフラ構築」のソリューションでは、無線LANアクセスポイントのローミングでなかなか切り替わらないときに切り替えを促すローミング支援や、AP間自動調整が挙げられた。

 これについては、社会福祉法人大分福寿会 特別養護老人ホーム そうりんヴィレッジの導入事例が紹介された。施設内で端末を持ち歩いてデータ入力するときに、ローミング支援によって場所を選ばず入力できることから、採用が決まった。

 「ハイブリッドワーク・業務デジタル化のインフラ構築」についてはそのほか、VPNルーター「VR-Uシリーズ」用のUTM機能ライセンスも挙げられた。

 これについては、ウエダメンタルクリニックの事例が紹介された。クラウド診療支援システムや、来院者向けWi-Fiなどを整備するにあたり、セキュリティ対策を強化するためにUTM機能ライセンスが採用された。

 「BCP対策」のソリューションとしては、NASのデータや設定をクラウドにバックアップする「キキNaviクラウドバックアップ」が挙げられた。

 これについては、株式会社シマダマシンツールの導入事例が紹介された。海抜が低い場所にあり万一災害があったときのデータ消失リスクを考えて、「キキNaviクラウドバックアップ」が採用された。

 「人手・IT人材不足」のソリューションとしては、前述の「キキNavi」が挙げられた。これについては、社会福祉法人富徳会 幼保連携型認定こども園 富岡ひばりこども園の導入事例が紹介された。保育システムがICT化する中で、現場でIT機器を管理するのは困難なため、キキNaviを使って保守会社に管理を任せた。

 同様に、社会福祉法人道心の事例でも、各園のデータをNASに集約するにあたり、キキNaviを使って管理を保守会社に任せた。