BISとイングランド銀行、ステーブルコイン発行監視プロジェクト「Pyxtrial」の概念実証結果を報告

AI要約

国際決済銀行(BIS)とイングランド銀行(BoE)が、ステーブルコインの負債と裏付け資産に関するデータをほぼリアルタイムでデータ提供する取り組みを共同で進めている。

両行連名のレポートで7月31日発表し、金融機関にとっての大きな課題となる「実世界の資産に裏付けられた他のトークン化された製品の監視」を一元的に把握できるという。

なお概念実証では、規制当局が負債と資産をほぼリアルタイムで追跡できることが分かったとのことだ。

「Pyxtrial」は規制当局が他のデジタル資産にも適用可能な技術で、世界中のセットアップに適応できるようにモジュール式かつカスタマイズ可能なアプローチを採用している。

2022年のFTX破綻を受けて「Proof of Reserves」の公開が広まり、ニューヨーク州司法当局との件を通じてステーブルコインの発行元が準備金の透明性を高める動きがある。

テザー社は、不正利用疑惑を受けて準備金の報告書提出を義務付けられ和解金を支払うことになったが、これを機に準備金の監査報告書を公開して透明性を高めている。

BISとイングランド銀行、ステーブルコイン発行監視プロジェクト「Pyxtrial」の概念実証結果を報告

国際決済銀行(BIS)とイングランド銀行(BoE)が、ステーブルコインの負債と裏付け資産に関するデータをほぼリアルタイムでデータ提供する取り組みを共同で進めている。両行連名のレポートで7月31日発表した。

同取り組みは「Pyxtrial(ピクストリアル」と呼ばれ、金融機関にとっての大きな課題となる「実世界の資産に裏付けられた他のトークン化された製品の監視」を一元的に把握できるという。

両行は今回、「Pyxtrial」の概念実証(PoC)の結果を共有した。概念実証では、USDT、USDC、BUSD、TUSD、PAXといったステーブルコインが対象となった。

同取り組みには当局が発行者のシステムからデータを直接引き出し、オンチェーンの負債を検証できる機能が含まる。これによりステーブルコイン発行体がトークン裏付けのための準備金の妥当性を確認できるという。

なお概念実証では、規制当局が負債と資産をほぼリアルタイムで追跡できることが分かったとのことだ。

「Pyxtrial」の技術は「モジュール式」で「カスタマイズ可能な」アプローチが採用されており、規制当局は世界中のさまざまなセットアップに技術を適応させることが可能だ。なお「Pyxtrial」は他のデジタル資産にも適用できる可能性があるとのこと。 ・「Pyxtrial」の完成時期は明らかになっていないが、今後テスト及び改良を予定しているとのことだ。

2022年のFTX破綻後、多くの取引所や発行者は、ユーザーの資産と準備金を1:1で保持していることを証明する「Proof of Reserves(プルーフオブリザーバーズ)」を公開している。

その一例として、USDT等のステーブルコイン発行元であるテザー(Tether)社は2021年2月、準備金不正利用をめぐるニューヨーク州司法当局(NYAG)との裁判に和解。この裁判は2019年4月にニューヨーク州司法当局がビットフィネックスとテザー社を、ビットフィネックスがテザー社の裏付け資産から約900億円(8億5,000万ドル)を不正に利用したとして告訴したことに端を発し始まった裁判で、その後の調査によって2017年以降の一部期間においてテザー社の発行するUSDTが米ドルと1対1で担保されていなかったことが判明していた。

和解の条件として暗号資産取引所のビットフィネックスとテザーは和解金1,850万ドル(当時の価格で約19億5,000万円)の支払いとニューヨーク州での顧客へのサービス停止に合意。

この和解の一環として、テザー社は2年間、四半期ごとに準備金の報告書を提出することに同意し。テザー社は、2023年初めにこの義務を完了しているが、その後も定期的に準備金に関する監査報告書を公開している。