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TIDALがMQA配信から撤退、すべてFLACに──360 Reality Audioも聞けなくなる
MQAに関するTIDALの決定について。MQAの配信停止とFLACの導入、Dolby Atmosへの移行が決定。
TIDALのユーザーに対する影響や変更内容について。MQAからFLACへの自動置換やダウンロードの再度要求など。
Lenbrook Media Groupとの提携による新しいストリーミングサービスの発表と、TIDALの今後の展望。
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紆余曲折合ったMQA。TIDALは推進派から撤退へ。
ついにTIDALがMQAの配信停止を決定した。TIDALは2chのハイレゾ配信に使うフォーマットをFLACに一本化。加えて、360 Reality Audioによる空間オーディオの配信も停止する。
ハイレゾはFLAC、空間オーディオはDolby Atmosに一本化
TIDALは昨年6月に戦略を大きく変更し、ハイレゾ配信用のフォーマットにFLACを採用する決定をしたが、この時点ではMQAの去就が不明だった。TIDALのCEOであるJesse Dorogusker氏は「FLACはオープンソースであり、アーティストやファンにとって最大の恩恵が得られる。これはTIDALのオープン・プラットフォームのサポートに合致している」と、(MQAのことについては触れずに)ハイレゾFLACを導入した意義について書いていた。
一方で、「可能な限り多くのハイレゾコンテンツを提供できるように今後も複数のフォーマットをサポートしていく」とも語っていた。その時点では、可能ならMQAのサポートを継続していくようにも取れる発言をしていた。
しかし、TIDALは先週、サポートページに「オーディオフォーマットの今後の変更」と題した記事を掲載。ここでMQAと360 Reality Audioのサポートを明確に否定し、7月24日以降は、TIDALアプリケーションまたはTIDALが統合されたサービスやソリューション(RoonなどのソフトウェアやTIDALの再生機能を組み込んだハードウェアなどを指すと考えられる)では、MQAや360 Reality Audio形式の音楽にアクセスできなくなるとしている。
なお、FLACはオープンソースであるため、一般的な2chオーディオ用に今後サポートするフォーマットに選んだとしている。また、空間オーディオは互換性のあるデバイスの数、カタログの可用性、およびフォーマットを採用するアーティストの数などから、Dolby Atmosを選んだとしている。
過去に再生できたデータのうち、再生できなくなるものも出そう
では、ユーザーの影響はどうだろうか? プレイリストを含むコレクション内にMQAのトラック/アルバムがある場合、トラックは自動的にTIDALに供給された最高品質のFLACに置き換わるとしている。また、オフラインアクセス用のMQAトラックやアルバムをダウンロードしている場合は、7月24日にアプリを最新バージョンにアップデートする必要がある。その際に、これらのトラックを再ダウンロードするように求められるとのことだ。つまり、同様のFLACに置き換えられるわけだ。
なお、360 Reality Audioのトラック/アルバムはグレー表示され、ストリーミングできなくなるとしている。
TIDALでは、今日ほぼすべてのMQAトラックに少なくとも16bit/44.1kHz以上のFLACバージョンがあるとしているが、すべてのトラックには代替品がない可能性があるとしている。また、TIDALでは今後オーディオフォーマットの提供を変更する予定はないとしている。
なお、このニュースは、Lenbrook Media GroupがHDtracksと提携してMQAを軸とした新しいストリーミングサービスを立ち上げると発表したことにも関連していると考えられる。こちらの記事も合わせて参照してほしい。なお、TIDALのサービスは、現時点では国内では正式には提供されていない。
文● 佐々木喜洋 編集●ASCII