薬剤師は本当に“いらない”のか? 実は「医療DXの主役」と言える意外な理由
薬剤師の役割や誤解について解説し、薬剤師の本来の仕事を明らかにする。
薬剤師が行う処方箋の確認や患者情報の確認、薬の調剤について具体的に説明。
薬剤師の仕事は重要であり、患者の安全を守る上で欠かせない存在であることを示唆。
薬剤師って本当に必要なの?──そんな声を聞くことがよくあるのではないでしょうか。そもそも、「薬剤師がどんな仕事をしているのか?」ということも正しく認知されていないように感じます。そのため薬剤師には、患者から価値の高さを認識してもらうためのアプローチが必要です。そこで一役買うのがITのチカラであり、実は医療全体のDXにおける中心的存在とも言えるのです。本稿では、薬剤師の社会的誤解と本来の役割について紹介しつつ、医療DXと将来の薬剤師について解説します。
薬剤師は不要──そう思われてしまう事情は次のようなものでしょう。
医師から「今回はこの薬を出しましょう」と処方薬の説明を受けた後で、患者は薬剤師からも再び同じ説明を受けます。ここで「あーハイハイ」と聞き流す患者は少なくありません。そもそも医師の指示で薬を出すだけの薬局で、なぜ待ち時間が発生するのか? 右から左へ薬をわたせばいいのでは?……など、利用者目線で考えると不可解な点があるのです。
ここでまず、薬剤師の仕事について整理します。薬剤師は決して「処方箋どおりに薬をわたす存在」ではありません。患者から見るとそう受け取られてしまうかもしれませんが、薬剤師も「人の命を預かる」重要な使命を背負っています。この使命を果たすために、薬剤師は主に次の3つの仕事を行います。
・処方箋の確認
医師が記載した処方箋を確認する段階で、薬剤師は「薬の名前、用量、用法」などが正確に記載されているかをチェックします。
・患者情報の確認
患者の既往症やアレルギー情報、そしてほかに服用している薬との相互作用などを確認します。処方された薬が、その患者にとって本当に安全かどうかを評価するのです。
・薬の調剤
処方された薬を正確な量で準備し、場合によっては薬を分割したり、特定の形で個包装をしたりします。この工程は正確さを要するため、時間がかかることがあります。
薬剤師の仕事はIT開発でたとえるなら、既存のシステムに追加開発をするとして、「1.要件の検証」→「2.既存部分への影響確認」→「3.実装」のような流れであると言えます。