【4000社調査で判明】日本企業のリアルな「DX到達度」、足を引っ張る…残念な領域とは

AI要約

2024年5月、IPAが公表した「DX推進指標 自己診断結果 分析レポート(2023年版)」によると、DX推進の取り組みが増加しており、企業の成熟度が向上していることが分かる。

過去5年間の結果を振り返ると、企業のDX進捗状況が年々向上しており、特に2023年は過去最高の回答数を記録している。

また、全指標の平均値は微増しており、企業のDX取り組みの成熟度が確実に向上していることが示唆されている。

【4000社調査で判明】日本企業のリアルな「DX到達度」、足を引っ張る…残念な領域とは

 2024年5月、情報処理推進機構(IPA)は「DX推進指標 自己診断結果 分析レポート(2023年版)」を公表しました。「DX推進指標」とは、DX推進における社内課題の整理や対応策の検討時に役立つ参考資料であり、自社の実力を見える化できるチェック項目のようなものです。DXの取り組み内容に応じたランク付け(0~5)があり、これを参照することで自社の取り組みの成熟度を定量的に確認することができます。毎年、この「DX推進指標」に沿って、自社の取り組みを自己診断した結果が経産省に報告され、その内容をまとめたレポートが公表されているのです。本記事では、過去5年間のレポートの結果を振り返りながら、日本企業のDXの取り組みの変化を概観します。

 経産省の「DX推進指標」に照らし合わせながら自社のDX進捗状況の自己診断結果を回答する企業は、「DX推進指標」がはじまった2019年以降、毎年増加しています。特に2021年から2022年までの増加率が大きく、2022年の回答社数は2021年の約8倍となりましたが、2023年は2022年をさらに91件上回り過去最高となりました。

 業種別に見ると、各業種とも、おおむね増加もしくは微減(横ばい)の傾向となっていますが、医療・福祉については全体で見ると9.3ポイントの減少、2022年比で見ると、42.8%の大幅な減少(回答社数629→269)となっています。

 企業規模別の内訳を見ると、2023年も中小企業が全体の約9割を占めており、前年と同様の傾向を示しています。

 また、回答企業の売上高規模別の内訳を見ると2023年は売上高規模が3億円未満の企業の回答社数は減少していますが、売上高規模が3億円以上の企業の回答社数はどの規模も微増しています。

生成AIで1分にまとめた動画

 2023年に自己診断結果を提出した4047社の全指標の現在値(自社がどの程度の状況にあるのか)と目標値(自社がどの程度の成熟度を目指すのか)を見ると、全指標の平均値は、現在値が1.26であり、目標値が3.17になっています。現在値、目標値とも前年度より微増しており、現在値と目標値の差は若干広がっています。

 5年間の推移を見ると、急激に回答社数が増加した、2021年から2022年にかけて減少しているものの、それ以外はおおむね増加傾向にあることが分かります。

 経営視点指標(定性)およびIT視点指標(定性)についても同様の傾向が見てとれます。

 大企業と中小企業に分けて見ると、2021年から2022年にかけての減少幅は中小企業のほうが大きくなっています。これは中小企業の回答社数の大幅増加により回答企業の裾野が広がったためと考えられます。

 また、成熟度の平均が3以上の「先行企業」は4047社中305社で、7.5%となり、2022年と比べ0.4ポイント増加しています。レベル3未満の「非先行企業」は3742件で92.5%となっています。

 全社戦略に基づいて部門横断的にDXを推進できるレベルに達していない企業が9割以上存在していることが想定されます。

 またレベル2未満の企業は3155件で、78.0%であり、全社戦略が明確ではなく散発的な実施にとどまっている成熟度レベルの企業が8割程度存在していることが分かります。