GIGABYTE、カスタムAIモデル構築をアシストする「AI TOP」シリーズ

AI要約

GIGABYTEはCOMPUTEX TAIPEI 2024に先駆けて新製品発表イベントを開催。AIモデルのトレーニング向け製品シリーズ「AI TOP」を発表。

製品の特徴やハードウェアの構成、ソフトウェアの機能などが紹介された。

AI TOPシリーズは個人や中小企業向けにAIモデルの構築を容易にし、高い耐久性と電力効率を実現。

専用のハードウェアやAI TOP Utilityソフトウェアを使い、自分用のAIモデルを構築できる。

AIの普及と市場の拡大に対応し、AIの一般利用やカスタマイズの重要性が強調された。課題解決と新たな環境構築を目指すAI TOPシリーズの意義が説明された。

GIGABYTE、カスタムAIモデル構築をアシストする「AI TOP」シリーズ

 GIGABYTEは3日(台湾時間)、COMPUTEX TAIPEI 2024に先駆けて、新製品発表イベント「UNLEASHED」を開催した。この中で新たに、AIモデルのトレーニング向けを謳う製品シリーズ「AI TOP」を発表した。

 AI TOPは、「Train Your Own AI On Your Desk」(自分の机の上で、自分用のAIをトレーニングする)を可能にする製品シリーズと位置付けており、個人や中小企業など専用のハードウェアを用意したり、深い知識を持たない環境においても、カスタマイズしたAIモデルの構築が実現できるという。主な特徴として、以下の5つを挙げている。

・最大で2,360億パラメータの大規模言語モデル(LLM)のローカルトレーニングをサポート

・直感的にセットアップが可能

・システムの柔軟性が高く、アップグレードが可能

・プライバシーとセキュリティを確保

・一般家庭の電源システムで利用可能

 ハードウェアとしては、マザーボードから「TRX50 AI TOP」および「W790 AI TOP」、ビデオカードから「GeForce RTX 4070 Ti SUPER AI TOP 16G」、「W7900 AI TOP 48G」、「W7800 AI TOP 32G」、SSDから「AI TOP 100E 1TB/2TB」、電源から「UD1600PM PG5 AI TOP」を新たに投入する。

 マザーボードは2製品ともに、最大4枚のビデオカードが搭載できるよう、PCI Express 5.0 x16スロットを複数装備。メモリはDDR5 RDIMMを8スロット用意し、最大容量2TBを実現できる。そのほか、TRX50 AI TOPではRAID 0対応のSSDスロットを4基、10Gigabit Ethernetを2基搭載。一方W790 AI TOPでは6基のSSDスロット、2基のThunerbolt 4ポートなどを備える。

 ビデオカードは3製品で、ともに最大4枚搭載できるよう、2スロット占有のサイズで設計されている。中でも、W7900 AI TOP 48GおよびW7800 AI TOP 32Gは、AMDとのパートナーシップにより実現した製品で、4枚搭載時でビデオメモリは最大192GBに達する。

 SSDは、AIモデルトレーニング向けの設計となっており、高いTBWやTCOの低さを特徴としている。最大リード速度は7,200MB/s、同ライトは6,500MB/sで、ビデオメモリやメインメモリと組みあわせて、大容量メモリの一部として使用することも想定されている。

 電源は、通常よりも厳しいテストをクリアしており、サーバーグレードの信頼性を謳う。最大4枚のビデオカードに電源を供給できるほか、80PLUS Platinum認証を取得し、電源効率にも優れる。

 これらの製品は、高品質な部材を採用したり、実際のAIモデルトレーニングのワークロードを用いた試験を実施したりすることで、高い耐久性を実現。また、一般的なPCを用いる場合と比べて、電力効率も大幅に改善できるとしている。

 ソフトウェアとしては、コマンドを使わなくてもAIモデルのトレーニングが行なえる「AI TOP Utility」を用意。クリック操作だけでもトレーニングの設定を進められるほか、ユーザーのピークタイム以外の時間帯でトレーニングを実行するスケジュール機能などを用意。処理はローカルで実行され、プライバシーも保護できるため、さまざまなAIモデルをベースにデータベースを反映してトレーニングすることで、低コストで自分用のAIモデルを構築できるとしている。

 また、トレーニングの状況をリアルタイムで表示できるダッシュボード機能も搭載。トレーニングの進行度、CPUやGPU、VRAMなどの使用率、トレーニングの設定内容やログなどを1つの画面でまとめて確認できる。

 さらに、AI TOP Tutorと呼ばれるアシスタント機能も用意。トレーニングのやり方や目的にあわせた推奨システム構成など、AIモデルトレーニングに関する質問をATとのチャットを通じて解決できる。

 発表会では、同社CEOのEddie Lin氏が登壇。生成AIのマーケットは2022年時点で400億ドルほどだったが、2032年には1兆3,000億円規模になるとも予想されているという。市場の拡大とともに、AIが徐々に一般利用される段階へと移ってきており、さらに今後はプライベートクラウドやモデルを各自がカスタマイズする使い方へと変わっていくと説明した。

 一方で、現状ではAIモデルをカスタマイズしてトレーニングするには、技術的な障壁や予算の制限、セキュリティやプライバシーなど、複数の課題があると指摘。今回発表したAI TOPシリーズでは、そういった課題を解決し、さまざまな人が、自分の机の上に設置できるようなPCを通じて、自分用のAIモデルをトレーニングできる環境を提供するとアピールとした。

 そのほか発表会会場では、上記以外の新製品やすでに販売中の製品などが展示されていた。