新感覚のオーディオイベント「REB fes」を体験、自分だけのストーリー実現に悩もう!

AI要約

オーディオイベント「REB fes」が新感覚のイベントとして開催され、参加者は異なる機材を組み合わせて自由に試聴できる点が特徴的だ。

会場ではfinalのフラッグシップヘッドホンを堪能する体験を中心に、異なるブランドの機材を使いながら自分の好みを探る楽しみがある。

自由度が高く、機材を借りながら様々な組み合わせを楽しむことで、オーディオ愛好家にとって満足度の高いイベントである。

新感覚のオーディオイベント「REB fes」を体験、自分だけのストーリー実現に悩もう!

finalがオーディオ業界を盛り上げるために主催しているイベントREB fel Vol.7を取材した。

 オーディオイベント「REB fes」が6月1日にベルサール秋葉原にて開催された。REB fesとしては7回目の開催で、東京では初となる。29社/60以上のブランドが参加、試聴機材も1600台以上用意された規模の大きなイベントだ。

 

 REBはfinalが展開するブランドのひとつであり、このイベントもfinalが主催している。また、e☆イヤホンも協力し、会場物販もあった。入場料は無料。予約なども不要で自由に参加できるイベントだが、参加にはREBの会員アカウント登録が必要となる。

 

新感覚と銘打つゆえんは?

 REB fesは新感覚オーディオイベントと題されていて、ほかのオーディオイベントとは少し趣向が異なっている。例えば、ヘッドフォン関連のイベントではブースにデモ機が並んでいて、その場で試聴するのが普通である。これに対してREB fesは、機材を借りて自分の席でじっくり試聴できるのが特徴だ。周りに気兼ねなく聴け、各ブースの機材を自由に組み合わせた試聴も可能となる。盗難や紛失が心配だが、REB fesでは来場者のREB会員アカウントと貸出機材に個別に割り振ったIDを紐づけて管理する仕組みを導入している。参加手順の詳細についてはREBのウェブサイトを参照してほしい。

 

finalのフラッグシップヘッドホンを堪能する

 ここでは参加者の目線で、具体的にこのイベントがどういうもので、どのような感想を持ったかを述べ、その魅力をレポートしていく。

 

 まずお勧めしたいのは「自分が何をしたいか」のプランを考えておくことだ。一般のイベントならば、ぶらりと回って目についた新製品をチェックする人が多いと思うが、このイベントは目的を持って参加することに意義があると思う。

 

 筆者の場合は、以前から気になっていた「finalのフラッグシップヘッドホンを堪能する」という目標を考えた。そこで「D8000」と「D8000 Pro」のどちらが自分の好みに合うかを確認できるプランを立てた。

 

 当日の会場には手ぶらで訪れた。貸出を希望する人には受付時に番号が振られたトレーが渡される。一度に借りられる上限は3台までである。このトレーの上に借りている機材を常において持ち歩くことで、その数を管理する。

 

上限枠の3台を効率よく使うことが大切

 最初にfinalのブースに向かって「D8000とD8000 Proを借りたい」と申し出た。自分自身のタグ(会員ID)と機材のタグをスマホを持った係員にスキャンしてもらうことで、持ち出しができる。いま借りているのは2個だ。

 

 音源も必要なので、D8000シリーズにふさわしいDAPを借りようと考えた。使い慣れたAstell & Kernの機材を借りるため、アユートのブースに向かった。ブースの担当者に高性能のDAPを借りたいがおすすめは何かと相談したところ、高性能を重視するならフラッグシップの「SP3000」、真空管搭載の「SP3000T」もいいという推薦を受けた。これに従いつつ、ヘッドホンの違いを確認するモニター的に使いたいので、SP3000を借りることにした。これで貸出を受けられる上限の3個を借りたことになる。

 

 REB fesはほかのイベントとは異なり、メーカーブースには座席がなく、聴くための席は少し離れた場所に固めて用意されている。このイベントでは250席ほどが用意されたという。

 

 3つの機材を載せたトレーを持ちながら座席を確保。席に着いて、D8000とD8000 ProのそれぞれをSP3000につなぎながら比較試聴した。聴いて見て、D8000 Proの方が好みに合うと分かったので、今度はD8000 Pro対応の交換ケーブルを探して、出音のグレードアップを図ろうと考えた。ただし、上限は3台なのでこれ以上は借りられない。

 

 そこで、借りている機材すべてをトレーに載せたまま座席を離れ、finalブースでD8000を返却した。D8000 Proの端子に合う交換ケーブルを調べたところ、AIMSで扱っているという情報を得たのでブースに向かった。

 

 AIMSのブースでD8000 Proにふさわしい交換ケーブルはないかと相談したところ「NESS」というハイエンドケーブルを借りることにした。上限の3台になったので、座席に戻ってD8000 ProにNESSを接続し、SP3000で聴いた。標準ケーブルよりもかなりクリアーに音楽を楽しめることが分かった。

 

 REB fesには据え置きアンプのエリアもある。このシステムの音を本格的に据え置きのアンプで確かめようと考えた。そこでアナログ方式にこだわったアンプを開発しているAnalog Squared Paper(A2P)ブースに向かうことにした。その前にアユートブースでSP3000を返却し、上限の3台の枠に収まるようにした。A2Pブースでは据え置きアンプ「TUR-08」を貸してもらい、その場(ブース)で試聴した。たしかに本格的で豊かなサウンドが楽しめる。

 

 最後にD8000 Proを、ポータブル環境で(スマホから)聴いてみようと考えた。D8000 Proに合うようなハイエンドのスティック型DACとして、iBasso「DC-Elite」を借りようと考えた。そこでMUSINブースに向かい、DC-Eliteの貸し出しを受けた。小さなスティック型DACだが、ハイエンドヘッドホンにふさわしい高い透明感がある。これでfinalのフラッグシップヘッドホンを堪能するという目的を達せられたと考えたので、すべての機材を返却処理した後、出口でトレイも返却し、会場を後にした。

 

組み合わせの楽しさ、悩む楽しさこそが新感覚

 実際に参加してみて確かに「新感覚のオーディオイベント」であることがよく分かった。特にいいのは、さまざまなブースから気になる機材を組み合わせて楽しめる点だ。

 

 本イベントは手ぶらでも参加できるが、音源の入ったSDカードは持参しておいた方が良いということも分かった。純粋なアナログアンプを楽しむこともあるので、音源を再生するデジタルオーディオプレーヤーなどの機器も持ち込んだ方がいいかもしれない。

 

 自由度が高いイベントだからこそ、参加前にあれこれとプランを考えておいた方がよいだろう。そうした悩む時間もまたオーディオイベントの楽しみと言える。

 

文● 佐々木喜洋 編集●ASCII