ホームセンターの生き残りをかけたPB戦略 大手メーカーが支配する市場参入のカギは細分化

AI要約

ホームセンターが高齢層から若者世代に顧客層を拡大し、オリジナル商品開発に注力する最新動向。

カインズの成功事例として「プロ仕様洗剤シリーズ」がSNSで話題になり、新たな顧客を掴んだ経緯。

オリジナル商品開発における企業の努力と顧客ニーズへの対応が重要視される状況。

ホームセンターの生き残りをかけたPB戦略 大手メーカーが支配する市場参入のカギは細分化

 かつては高齢層がメインだったホームセンターは、近年のDIYやキャンプブームにより、若者世代にも客層が伸びた。時代とともに顧客層が変化するなか、カインズでは「鏡のうろこ取り」「冷蔵庫の自動製氷機クリーナー」など細分化したオリジナル商品「プロ仕様洗剤シリーズ」がSNSで話題になりヒットし、新たな顧客を掴んだ。熾烈な競争にさらされる小売業界の中、オリジナル商品開発に注力するホームセンターの事情と課題を探る。

◆キャンプやDIY女子ブームをけん引も停滞 近年はPB商品開発で起死回生するホームセンターが続々

 住宅・日用雑貨を中心に取り揃えた量販店であるホームセンターは、10~20年前は中高年層が顧客のメインだった。近年は、コロナ禍のキャンプブームやSNS映えの流れに乗った“DIY女子”などのトレンドにより、顧客層の幅が若い世代にも広がった。しかし最近では、一時期に比べてそうしたブームも落ち着いてきている。疾風怒濤の時代に注目を集めているのが、ホームセンターそれぞれが独自に開発するオリジナル商品だ。

 細分化した「プロ仕様洗剤シリーズ」をヒットさせたカインズでは、同社のオリジナル商品開発の黎明期だった2007年に企画から販売まで一貫して手がける体制を整え、オリジナル商品の開発を本格的にスタートした。その背景をカインズ・広報部の星野彩華さんは、「ライフスタイルが多様化する中、お客様1人ひとりの自分らしいくらしをサポートしていきたいという考え方があります」と振り返る。

 2007年からスタートしたオリジナル商品群は、2023年末までの全体的な売上高の推移で、大きく上昇しているという。星野さんは「商品の使いやすさやからデザイン性まで、生活者の目線に立ち、求められる使用体験に着実に応えてきたことがお客様からご評価をいただいています」と10年先を見据える商品開発の成果に自信をのぞかせる。

 この2年ほどは世相的に若い世代の来店が増える傾向にある一方、それは劇的に大きな変化ではなく、顧客層は絞らずオール世代をターゲットにしている。そこで掲げるのは「年齢層の分け隔てなく支持される、お客様のニーズに寄り添った商品開発」(星野さん)とした。