52年ぶりに新・菊五郎が誕生、2025年5月に八代目襲名、七代目は襲名せず〝現状維持〟、歌舞伎の名門初の〝2人菊五郎〟時代へ

AI要約

松竹は27日、歌舞伎俳優の尾上菊之助(46)が2025年5月に八代目尾上菊五郎を襲名すると発表した。同時に長男の尾上丑之助(10)も六代目尾上菊之助を襲名する。菊之助の父で当代の尾上菊五郎(81)は襲名せず、そのまま七代目を名乗る。これにより、初の2人の菊五郎時代が幕を開ける。

発表を受けた3人は、異例の襲名決断に至った背景や理由について会見を行った。歌舞伎界で親子が同時期に同じ名跡を名乗る例は極めて珍しい。

また、尾上菊五郎の歴代の襲名者についても紹介しており、菊五郎の名跡の由来や重要性、それぞれの時代を綴っている。

52年ぶりに新・菊五郎が誕生、2025年5月に八代目襲名、七代目は襲名せず〝現状維持〟、歌舞伎の名門初の〝2人菊五郎〟時代へ

 松竹は27日、歌舞伎俳優の尾上菊之助(46)が2025年5月に八代目尾上菊五郎を襲名すると発表した。歌舞伎界の名門・音羽屋で新しい菊五郎が誕生するのは52年ぶり。同時に長男の尾上丑之助(10)も六代目尾上菊之助を襲名する。菊之助の父で当代の尾上菊五郎(81)は襲名せず、そのまま七代目を名乗る。江戸時代から300年近く続く大名跡で初の〝2人菊五郎時代〟が幕を開ける。

 発表を受けて菊五郎と菊之助、丑之助の3人が東京都内で記者会見。異例の襲名決断に至った理由について、菊五郎が自ら真意を説明。

 同時期に2人の歌舞伎俳優が同じ名跡を名乗った例としては、分裂騒動により明治から昭和にかけて約100年間にわたり東京と大阪に存在した「中村福助」の例がある。ただ今回のように通常の襲名で親子が同時期に同じ名跡を名乗った例は、公式資料などでも前例がないという。

 八代目菊五郎を襲名する菊之助は1977年生まれで菊五郎の長男。84年に六代目尾上丑之助を名乗り初舞台を踏み、96年に五代目菊之助を襲名。市川團十郎(46)や尾上松緑(49)と共に「平成の三之助」として歌舞伎人気を盛り上げ、「マハーバーラタ戦記」「風の谷のナウシカ」「ファイナルファンタジーX」などの新作歌舞伎も積極的に手がけた。13年に二代目中村吉右衛門の四女・瓔子さんと結婚し、長男の丑之助が誕生した。

 コロナ禍による襲名延期を経て、2022年には「十三代目市川團十郎白猿」の大名跡が9年ぶりに復活。約半世紀ぶりとなる新たな菊五郎の誕生で「令和の團菊時代」が本格的なスタートを切る。

 ♦歴代の尾上菊五郎

 ●初代(1717~83) 京都の都萬太夫座の芝居茶屋の出方・音羽屋半平の子。1730年から尾上菊五郎の名前で活動。※屋号「音羽屋」の由来。

 ●2代目(1769~87) 初代の子。初代の死後2年目に2代目を襲名したが2年後に早世。

 ●3代目(1784~1849) 初代の門弟・初代尾上松緑の養子。菊五郎の名跡を大きくした名優。※明治期以降の本名「寺島(寺嶋)」姓は、3代目が向島寺島町に住んだことに由来。

 ●4代目(1808~60) 3代目の娘婿。大坂出身の女形。

 ●5代目(1844~1903) 3代目の次女の子。父は12代目市村羽左衛門。9代目市川團十郎、初代市川左團次とともに黄金時代を築いた明治の名優。※9代目團十郎と5代目菊五郎の功績をたたえる「團菊祭」を1936年から上演。

 ●6代目(1885~1949) 5代目の長男。初代中村吉右衛門とともに「菊吉時代」を築いた大正・昭和期の名優。

 ●7代目(1942~) 当代。6代目の養子・7代目尾上梅幸の長男。「昭和の三之助」として歌舞伎人気を盛り上げた1人。1973年に7代目尾上菊五郎を襲名。

 ●8代目(1977~) 7代目の長男。2025年に8代目を襲名予定。