21世紀になっても増える「ウルトラ兄弟」結局何人いるの? 人によって数が異なるワケ

AI要約

ウルトラ兄弟の語源や背景について。製作側と雑誌側のやり取り、そして増減する兄弟の数。

「ウルトラ6兄弟」というイメージに影響を与えた作品やエピソードについて。

後のウルトラシリーズにおける兄弟の増加や扱いについて。

21世紀になっても増える「ウルトラ兄弟」結局何人いるの? 人によって数が異なるワケ

 昭和のウルトラシリーズで、よく耳にした「ウルトラ兄弟」というフレーズがあります。近年では、「ニュージェネレーション」と呼ばれるウルトラ戦士たちもいます。それではウルトラ兄弟というカテゴリーは、その後、どうなったのでしょうか。

「ウルトラ兄弟」という言葉が作品中に初めて出たのは、1971年から放送された第2期「ウルトラ」シリーズの1作目『帰ってきたウルトラマン』第51話「ウルトラ5つの誓い」です。この時は「ゾフィー」「ウルトラマン」「ウルトラセブン」「帰ってきたウルトラマン」の4兄弟でした。

 実はこのウルトラ兄弟という言葉は、製作側のアイディアではありません。当時、小学館の学年誌で誌面に掲載されたことがきっかけです。これは雑誌側の一方的な解釈で、上記の4人を「実の兄弟」としました。その背景には「親子や兄弟といったものは子供の受けがいい」という判断だったそうです。

 しかし、この一方的な雑誌側の設定に対して、円谷プロは抗議をしました。それはすでに存在している「ウルトラの国にはシルバー族とレッド族という異なる種族がいる」という設定と齟齬があるからです。

 そこで雑誌側は軌道修正して、「4人は実の兄弟ではないが、仲が良いので兄弟と呼ばれている」としました。このようなやり取りの後、ウルトラ兄弟の設定は映像作品にも取り入れられることとなり、次回作『ウルトラマンA』で本格的に使われるようになります。それは続けて『ウルトラマンタロウ』でもフィーチャーされ、第2期「ウルトラ」シリーズの要ともいえる設定となりました。

 こうして続編が作られるたび、ウルトラ兄弟が増えることになったわけです。もっとも、このウルトラ兄弟の数は、人によって異なる数字を思い浮かべるかもしれません。それは「ウルトラ」シリーズを観ていた時代によって増減することがあるからです。

 おそらく「ウルトラ6兄弟」という人数で覚えている人が一番多いことでしょう。その理由は上述した4兄弟に加えて、「ウルトラマンA」と「ウルトラマンタロウ」を加えた6兄弟がもっともクローズアップされたからだと考えられます。

 本来ならウルトラ兄弟の7番目である「ウルトラマンレオ」およびその実の弟で8番目の兄弟「アストラ」の「8兄弟」となるところでしょう。実際『レオ』第39話で、ウルトラマンキングがふたりの兄弟入りを告げています。しかしこのふたりは「ウルトラ8兄弟」としての共闘がなく、これが「6兄弟」とクローズアップされ印象づけられた大きな理由かもしれません。やはり映像的に在るか無いかでは、印象はだいぶ変わります。

 この点に影響されるのが、1984年公開の劇場用映画『ウルトラマン物語』での扱いでした。この作品ではタロウをクローズアップすることで、ウルトラ兄弟は6人までであり、レオとアストラはウルトラ兄弟以外のウルトラ戦士という扱いになっています。

 逆にウルトラ6兄弟は『タロウ』での共演や共闘シーンが複数回あり、挿入歌「ウルトラ六兄弟」の影響も大きかったと考えられます。そういった理由から「ウルトラ兄弟は6人」という印象を持った人は少なくないはずです。もちろんウルトラシリーズに少しでも詳しい人は、そんな認識にはならないでしょう。

 ちなみにここまでの話は、昭和までの「ウルトラ」シリーズの話です。実は後の作品で、ウルトラ兄弟が増えたことは意外と知られていないかもしれません。