【モツあんかけラーメン】大塚のニューウェーブ町中華の名物ラーメンが、ぐぅのねも出ないほどにうまかった話:パリッコ『今週のハマりメシ』第152回

AI要約

ある日、あるとき、ある場所で食べた食事が、その日の気分や体調にぴたりとハマることが、ごくまれにある。

それは、飲み食いが好きな作者にとって無上の喜びであり、ベストな選択をしたときの喜びを感じる瞬間だ。

肉焼売やエビ焼売など豊富なバリエーションを提供する幸龍軒で満足度の高いシュウマイを味わい、チーポテも絶品だった。

再訪した幸龍軒で、初志貫徹し「モツニラあんかけラーメン」と焼売セットを堪能したが、誘惑のメニューも気になる。

【モツあんかけラーメン】大塚のニューウェーブ町中華の名物ラーメンが、ぐぅのねも出ないほどにうまかった話:パリッコ『今週のハマりメシ』第152回

ある日、あるとき、ある場所で食べた食事が、その日の気分や体調にあまりにもぴたりとハマることが、ごくまれにある。

それは、飲み食いが好きな僕にとって大げさでなく無上の喜びだし、ベストな選択ができたことに対し、「自分って天才?」と、心密かに脳内でガッツポーズをとってしまう瞬間でもある。

そんな"ハマりメシ"を求め、今日もメシを食い、酒を飲むのです。

* * *

ライターの大先輩で、よく酒の場もご一緒させてもらっている、とみさわ昭仁さんが、SNSで大塚にある「幸龍軒」という店の「モツあんかけラーメン」が美味しかったという発言をされていた。

大塚はたまに訪れる機会もある好きな街で、その店も外観を見て前から気になっていた。しかもとみさわさんは、地方遠征までするほどの大の麺好き。気にならないわけがない。何気なく「いつかご一緒しましょう」とコメントすると、「いつかなんて言わず、日程を決めよう!」とご連絡をいただいた。なんてかっこいいんだろう。 数日後、さっそく幸龍軒飲みが実現する。

大塚駅の南口駅前は、駅を降りるといきなり「大塚天祖神社」の参道入り口があり、そこが飲み屋も多い繁華街になっている。しかもその前を東京に残る唯一の都電「東京さくらトラム(都電荒川線)」が横切るという、なんとも味わい深い街だ。 そのなかにある1軒が、幸龍軒。

一見すると古い町中華のようだが、実はここ、大手中華チェーンの「大阪王将」がプロデュースした店らしい。僕は酒場ライターという仕事がら、ふだんはチェーン店よりも個人店により興味があるような人間だけど、このコンセプト作りと求心力は素晴らしいとしか言えない。

壁には魅力的な短冊メニューがびっしりとかかげられていて、一角には冷蔵ケースがあり、まるでコンビニのように酒の缶がずらりと並ぶ。グラスや氷などは無料で使えて、セルフでとって飲むスタイルらしく、すでにわくわくが止まらない。

さっそく「ホッピーセット(白)」(税込480円)でスタート(こういうものとか生ビールは店員さんに注文する方式)。

さらにここに、これまた大先輩ライターであり、とみさわさんの飲み友達でもあるキンちゃんさんも加わり、完全に最高の昼下がり。さて、欲望のままに飲み食いするぞ~! と気合いを入れたはいいけれど、ここで重大な問題がひとつ浮かび上がる。それは、集まっているのが、日本でも屈指の"食が細い"メンバーであるということ。

酒はガンガンに飲む。けれども、つまみはちょっとでいいが基本スタンス。その結果、僕が「お好きな焼売5個」(800円)、とみさわさんが「チーポテ」(500円)、キンちゃんさんが「よだれ鶏」(580円)を1品ずつ頼んだら、それで全員、じゅうぶんにお腹がいっぱいになってしまったのだった。

店のおすすめメニューのひとつであり、僕の大好物でもあるシュウマイは、「肉焼売」「エビ焼売」「ホタテ焼売」「とびこ焼売」「しいたけ焼売」とバリエーション豊富で、ひとつずつ頼むよりも50円お得な5個セットは大満足の味わいだった。じゃがいもとチーズをオーブン焼きにしたチーポテも、そりゃあうまいに決まってる。なんなら僕はそれで事足りてしまい、よだれ鶏には味見もできなかったほどだ。

最高に楽しい。しかし、ラーメンを食べる余裕はもはやない。それを食べに来たはずなのに! ということがあったのが、約1ヶ月前。そして、ちょうど大塚に用事があってついに念願叶い、胃袋の具合も調整しつつ、ひとりで幸龍軒を再訪できたのが、やっと数日前なのだった。

正直、誘惑は多い。店名に加え「大塚」という地名までメニューに入れ込んでしまっている、巨大チャーシューののった天津飯「大塚 幸龍飯」や、これまた巨大レバニラに目玉焼きやシュウマイまでのった「肉厚レバニラ炒飯」も、いつか絶対に食べてみたい。けれども今日は初志貫徹。「モツニラあんかけラーメン」(980円)を食べないわけにはいかない。メニューを見ると、プラス250円でえ肉焼売が2個つく「焼売セット」というのがあるので、それにしよう。当然、今日もホッピーからのスタートで。