【9月に観たい映画】GINZA編集部がレビュー!

AI要約

ドキュメンタリー監督マイテ・アルベルディ最新作。南米チリの著名なジャーナリストと国民的女優の結婚と闘病を描く。失われつつある記憶を再構築する感動的なストーリー。

韓国の歴史的な事件を背景に、リーダーと軍人の戦いを描く。国民の怒りと政治の闇に迫る作品。

ロシアの作曲家チャイコフスキーの妻を描く物語。男性中心社会での孤独と苦悩を描く、芸術的なストーリーテリング。

【9月に観たい映画】GINZA編集部がレビュー!

GINZA編集部が、新作映画3作品をレビュー!今月何を観ようか迷ったら、こんな作品はいかがでしょう?

ドキュメンタリー監督マイテ・アルベルディ最新作。南米チリの著名なジャーナリストのアウグスト・ゴンゴラと、国民的女優でチリで最初に文化大臣となったパウリナ・ウルティア。25年間連れ添った二人は、アウグストのアルツハイマー病が発覚した2年後に結婚。軍政から民政へと移行した90年代、過去から学び、報道としてアーカイヴすることに励んだ夫。失われつつある記憶を夫婦で手を取り再構築していく日々は、前向きなエネルギーに満ちている。

●新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開中。

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韓国民主主義の存亡を揺るがした「粛軍クーデター」「12.12軍事反乱」。この事件をもとに、暗黒時代の象徴で、その後大統領となる全斗煥をモデルにしたチョン・ドゥグァン保安司令官対、高潔な軍人として知られる首都警備司令官イ・テシンの戦いを描く。強いリーダーを求める大衆の心理と正しさが負ける政治を前に、沸くのは怒りの感情だ。韓国の4人に一人が観るほど大ヒットとなった理由は、二度と負の歴史を繰り返さないという国民の意思が故か。

●新宿バルト9ほか全国順次公開中。

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「世紀の悪妻」と汚名を着せられた、ロシアの天才作曲家チャイコフスキーの妻アントニーナ。同性愛者だという噂が絶えなかった彼を盲目的に愛し結婚した地方貴族の娘の視点から、その物語を捉え直す。男性中心社会で何者かにならねばと必死で足掻く彼女の脳のバグは、自身を破滅へ向かわせる。オペラやバレエの演出も手がける監督キリル・セレブレンニコフの、現実と妄想の境界を揺さぶり、人間の歪みを芸術へと昇華するストーリーテリングが生きている。

●9月6日(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開。

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Recommender_小川知子

ライター。ロシア社会を風刺してきたキリル・セレブレンニコフ。映画『LETO ―レト―』『インフル病みのペトロフ家』も併せて観ると、彼の語りのユニークさが伝わるはず!

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