そんなに女性天皇がいやなのか…最近の雅子皇后いじめの裏にあるもの(元木昌彦)

AI要約

週刊誌が雅子皇后の体調不良について報じている。最近の公式行事での遅刻や出席が遅れたりするなど、体調が万全でないようだ。

雅子皇后は適応障害に苦しんでおり、その病気は回復が難しいようだ。周囲のプレッシャーや求められる役割によって病気が発症した経緯が明らかになっている。

メディアが雅子皇后を批判する一方で、将来の天皇となる愛子さまのことも考慮すべきだと指摘されている。

そんなに女性天皇がいやなのか…最近の雅子皇后いじめの裏にあるもの(元木昌彦)

 雅子皇后に“異変”が起きていると週刊誌が騒いでいる。

 週刊新潮(9月5日号)によれば、今夏、那須の御用邸へ静養へ行く際、天皇皇后は珍しくお召し列車ではなく全ての行程を車で行かれたというのである。

 その理由は、お召し列車となればJRはダイヤ編成を行わなければならず、出発の1カ月以上前にJR側に連絡をしなければいけないのだが、それができなかった。「最も大きかったのは皇后さまのご体調でした」(さる宮内庁関係者)というのである。

 今回は仕事が多忙で愛子さんが一緒に行けないということもあったようだが、それだけではなく、このところの雅子皇后は、体調が優れないため、公式行事への出席も遅れがちになるという。

「大事な行事当日にご体調のピークを合わせられるよう、皇后さまは数日間かけてコンディションを整えられています。ただし、そのお出ましが終わった後はお疲れが残ってしまう。なかなかお休みになれないなど、少なからず生活のリズムが狂ってしまうのです」(同)

 先の英国訪問の際にも出発が10分遅れ、帰国後、上皇夫妻に帰国の挨拶に向かう時も5分ほど遅れ、那須へ向かう日も皇居からの出発時間が20分ほど遅れたと、小姑のごとく言い募る。いいじゃないか10分20分遅れたってと、私は思うのだが。

 女性セブン(9月12日号)も「雅子さま緊迫引きこもり静養深刻急変」、女性自身(9月17日号)でもほぼ同趣旨の内容を報じている。

 雅子皇后の「適応障害」という病は全快が難しいようである。このところ、海外訪問を含めて、重要行事には天皇と一緒に出席して、にこやかな笑顔ではつらつとこなしているようにみえていたのだが。

 しかし、なぜここへきて週刊誌が示し合わせたように雅子皇后バッシングとも思える報道を始めたのだろうか。彼女が病を発症したのは、皇室という未知の世界に入ってからすぐに、宮内庁をはじめとする周囲の「お世継ぎを産め」という強烈なプレッシャーのためだった。2001年12月に愛子さんが誕生してからも、宮内庁は「男の子でなくては」と雅子さんを追い詰め、心身ともに傷つき、病んでしまったのである。

■週刊誌やワイドショーは、こぞってバッシング

 だが、心ない週刊誌やワイドショーは、「公式行事には出ないのに実家には度々帰っている」など、こぞって雅子さんバッシングをした。それが皇后に即位すると、手のひらを返したように雅子さんと愛娘の愛子さんを賛美する大合唱を、同じメディアが繰り広げたのである。そして再び手のひら返し。

 なぜか? 私が推測するに、一つは、国民の多くが「愛子天皇誕生」を望んでいることにあると考える。次期総理が誰になろうとも早急にこの重要課題に取り組まざるを得ないが、いまだに女性天皇さえ認めないゴリゴリの守旧派議員が自民党の中には多くいる。その連中の仕掛けではないか。

 いま一つは、秋篠宮家の長男・悠仁さんの大学受験が、この秋大詰めを迎える。東大推薦入学が成功するか否か、その話題ばかりがメディアに出ることを危惧した秋篠宮家の関係者が“リーク”しているのではないか。

 いずれにせよ、今われわれ国民や政治家、メディアが考えるべきは、雅子皇后のこともそうだが、愛子さんのこれからについてであるはずだ。もうすぐ23歳になる女性が、自分の人生を自ら決めることができず、どうなるかも見通せない日々を送っているのである。残酷だとは思わないか。

(元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」元編集長)