不倫芸能人への異常な懲罰感情、気軽に語られる婚外恋愛…「私たちは混乱している」作家・鈴木涼美が考察する、現代日本の「不倫」

AI要約

日本における不倫の現状について、中高年男性や女性の不倫事情、文化的要素、結婚後のセックスレスなどが示唆されている。

米国のジャーナリストによると、アメリカを含む多くの国で不倫は罪悪視されるが、日本では特異な事情があると紹介されている。

日本の家庭や企業文化における矛盾や非日常の要素などが、日本人の不倫事情に影響を与えている様子が描かれている。

不倫芸能人への異常な懲罰感情、気軽に語られる婚外恋愛…「私たちは混乱している」作家・鈴木涼美が考察する、現代日本の「不倫」

前回記事『「妻とだけセックスをしろって言うのかい?」「日本の女性は、不倫を理解して楽しんでいるよね」…機内で声をかけてきた外国人・40代既婚男性の「驚きの言い分」』では、インターナショナルな不倫の現場から、日本の「不倫」が垣間見えたエピソードを紹介した。

では実際には、日本における「不倫」は現在、どのような状況にあるのだろうか?

本記事は、注目の新刊『不倫論 この生きづらい世界で愛について考えるために』より一部抜粋・編集してお届けする。

自分がターゲットとならないような現場であっても、飲み会や打ち上げに行けば、「妻じゃなくてカノジョ」を連れてくる中高年男性とすれ違い、時に紹介され、自慢される。

友人の夫の不倫疑惑を三時間も長々と聞かされた後、「まぁ私にも彼氏はいるんだけど」と告白され、しかもその彼氏も既婚だったり、既婚の彼氏の妻にもセフレがいたりする。

アプリで知り合った男性といい感じだと聞いて三ヶ月後に様子見の連絡をしたら、「ああ既婚だったよあれ」と素っ気ない返事が来る。

不倫に関する各国の事情を取材した米国のジャーナリスト、パメラ・ドラッカーマンは著作『不倫の惑星』の冒頭で「アメリカほど不倫が罪悪視されている国は、アイルランドとフィリピンの二国をのぞいてない」とし、日本について述べた章を「お一人様用布団の謎」と題している。

日本の夫婦に特徴的なのは子供を産んだ後はセックスレスになりがちなこと。家庭にセックスや恋愛を持ち込まず、男女それぞれが非日常にそれを求める。

たとえば玄人女性とセックスしたり、かつて大流行した韓国ドラマ『冬のソナタ』にキュンキュンしたり。企業文化などを調べる人と結婚事情を調べる人とでは、欧米諸国や他の外国と比較したときの日本の印象がずいぶん違うだろうと思う。

終身雇用を基本としていた日本企業は「社員は家族」なんて言って実に情に厚い文化を根付かせるくせに、実際の家庭の中では「家族は社員」と言わんばかりにそれぞれが稼ぎ頭や家事担当などのロールをそつなく演じていて結構ドライ。